DtoC増加で自社型ECへ移行する流れ
損害保険ジャパンは11月から、eコマース事業者向けの保険商品を、ネットショップ開設サービスの「Shopify(ショッピファイ)」を通じて販売する。代金回収ができなかったときの補償や、顧客とトラブルが起きた際の弁護士費用を補償する。新型コロナウイルス感染症の拡大を契機にネット販売が拡大する中、事業者のリスク回避の需要に応える。
「Shopify」で開設したネットショップへの追加機能(=アプリ)として開発、加入から申請までを完結できるようにした。アプリに契約者情報やクレジットカード情報を入力し、保険料は契約者が運営するネットショップの売り上げを「Shopify」を通じて自動で取得し、計算する。
「Shopify」をベースにしたことについて、損保ジャパンの担当者は、「消費者へ直に販売するダイレクト・トゥ・コンシューマーが本格化する中で、モール型ECから、ネットショップ開設サービスを用いた自社型ECへ移行する流れがあると見ている」と話す。
「その中でも、『Shopify』はシェアを大きく伸ばしており、アプリとして機能追加できることが、保険を組み込むのにも適していると判断した」(損保ジャパンの担当者)
商品内容は、クレジットカードの不正利用による購入で、カード会社から支払を拒否された際の損害の一定割合を補償する「チャージバック補償保険」、利用者からのクレーム行為などトラブルがあった場合に、弁護士に相談するための費用を補償する「ECトラブル弁護士費用補償保険」の大きく2つ。後者は、国内の利用者を対象したものと、海外の利用者を対象にしたものとがある。
最低保険料は、チャージバック補償が5万円、弁護士費用が国内ECは1万円、越境ECは6000円。いずれも保険期間は半年。補償金額は、チャージバックが1回につき100万円、保険期間中を通じて500万円が上限。国内ECの弁護士費用補償は、1回の事故につき70万円、保険期間中を通じて500万円などと定めた。補償金額は、EC事業者や弁護士などへのヒアリングを通じ、設定した。
開発したのは、SOMPOホールディングスデジタル戦略部の開発部署「SOMPO Sprintチーム」。コロナ禍において、事業者の変化に対応する保険商品であることから、早期の立ち上げが命題となり、内製に踏み切った。商品構想からショッピファイ側のアプリ審査までかかったのは約1年。うち、開発期間は約3カ月だった。