「製品だけを強調するコーポレートサイトになっていませんか。ユーザーは、製品の良し悪しだけで採用を決めるわけではありません。アクセスが集まるのは実は企業情報。ユーザーは、どういう企業なのかを非常によく見ています。企業自体への期待感や信頼感を高める情報をいかに分かりやすく配置できるか。営業支援にもなるサイト構築を目指す時、忘れがちな視点です」。
こう話すのは、BtoB企業や多言語展開が必要なグローバル企業のサイトの企画制作を得意とするアークコミュニケーションズの佐藤氏だ。長引くコロナ禍で、企業とステークホルダーとのコミュニケーションのあり方も変化し、従来の営業機会が減ってしまったことから、コーポレートサイトを営業支援に活用できるものに変更したいという依頼もよく寄せられるようになってきたという。
期待を高める要素を見出す
企業がコーポレートサイトをリニューアルする動機は、デザインや構造の古さや現在の事業内容との乖離など、経年による劣化の解消である場合が多い。同社では、こうした課題の解消だけではなく、経営課題や企業の提供価値からヒアリングを行い、ユーザーの期待感や信頼感を高める要素を掘り起こすところから企画提案を行う。その姿勢を評価してくれる企業が増えているという。
では企業ブランディングをふまえたコーポレートサイトを構築する際、今どんな点が重要になってきているのか。同社では❶ユーザー目線×企業ブランド目線の情報設計 ❷グローバル動向をふまえた企画 ❸スムーズに指針が決まる進行管理の3つに注力している。
❶ユーザー目線×企業ブランド目線の情報設計
企業の概要や沿革などをまとめた「企業情報」、グローバルサイトでは「About us」などと表示されるページは、製品を探しにサイトを訪問するユーザーもよく見ている。
「海外企業は、『About us』を企業ブランドの発信コーナーとして位置づけてコンテンツを集中させているのが一般的になっており、日本でも同様の考え方をする企業が出てきています」と佐藤氏は指摘する。
例えば企業の強みのコンテンツ、製品の安全性や環境配慮などのサステナビリティを企業情報コーナーに位置づけることで、ユーザーに企業の大切にしている価値観を伝えることができるというわけだ。
❷グローバル動向をふまえた企画
「日本企業のサイトにはグローバルのスタンダードとは異なる特徴があります」と佐藤氏。そのため、グローバルサイトの企画にあたっては、海外競合企業のサイトの構造やコンテンツ、デザインを丁寧にベンチマークした上で提案を行っているという。
例えば、日本では鉄板といえる「社長メッセージ」は海外ではほぼ見かけることがなく、代わりに「取締役プロフィール」が重要視される。大里社長は、その理由をこう話す。
「海外投資家は、企業が業務執行者をどのようにモニタリングするのか、その体制に興味があります。コーポレートサイトは経営に資するものですので、日本企業でも海外投資家の比率が高まるにつれて、このようなコーポレートガバナンスに関するコンテンツを充実させるようになるはずです」。
❸スムーズに指針が決まる進行管理
アークコミュニケーションズでは、制作の進行管理においても丁寧なアプローチを行う。プロジェクトの進行については、体制づくり、お客様との合意形成が成功の鍵を握る。
「サイトリニューアルにあたっては、プロジェクトの関係者をできるだけ絞ったうえで、最終決裁権者や経営陣に近い方と現場担当の双方にご参加いただくことが重要です。企業ブランディングとユーザー視点の両面からサイトの指針やデザインの方向性といった要所の検討を行うこと、決定事項のスムーズな承認は、プロジェクト進行に勢いをつけます。また、初期の要件定義で『何をやらないか』を決めておくことで、作業範囲の認識のずれがなくなり進行もしやすくなります」と同社営業の遠山氏は語る。
ワンストップ対応
コーポレートサイトのリニューアルは、5年、10年と間が空いてしまう企業も数多い。その間、サイト運用担当者の部署異動など、サイトのコンセプトや情報の継承が途絶えてしまうことも少なくない。それを支え、一貫した運用が継続できるようサポートすることも、パートナー企業の重要な役割である。同社では、リニューアルを担当したスタッフが継続して運用にもかかわる取り組みを行うこと、人材派遣サービスでオンサイトに「異動のない人材」を提供することなどで、この課題を解決している。
また、翻訳事業によるコンテンツの多言語化などもワンストップで対応できるため、グローバル企業やこれから海外展開を目指す企業にとってメリットの高いサービスを提供できる。「ウェブサイトのトレンドは移ろいやすく、あっという間に古さを感じさせてしまいがちですので、トレンドを踏まえた改善提案をこまめに行っています。今後もコーポレートサイトの担当者様に有益なサービスを提供し続けたいと思っています」(柴田氏)。
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