大事なのは1個ズレの意外性 2個以上はお客さんが付いてこない
尾上:そんな感じでアイデアを生み出しまくってる堀川さんですが。一応失敗したメニューもあったということで、ちょっとそちらも。
秋谷:消えていったメニューは、いくつかやっぱり。おいしいんだけど、時代が追い付いていなかったとか。ホッカレーとか……カレイにカレーをかけたんだっけ。おいしいんですけど、何て言うんでしょう、みんな頼む勇気がない。おいしいんですけど、消えていったなっていうのは。
堀川:あと失敗したのは、温フルーツね。温野菜じゃなくて、温フルーツ。これもつくったんだけど、おいしいんだけど、タイ料理に近い感じになっちゃった。
尾上:はい。いま語っていただいたのが、もともとバイトで働かれていて、いまSNSをサポートされている秋谷さんですね。意外性の幅が重要ということかもですね。ホッカレーとかだと、想像がちょっとついちゃうというか。でもやっぱりフルーツ寿司って意外じゃないですか、すっごい。で、意外だと言いたくなるっていう。それが今の時代とも合ってるし、SNSとかでも広まるっていうことなんじゃないかなと。
嶋野:僕は何か、ズレの個数が1個多かったんじゃないかなと思ったんですよ。お寿司を食べる気持ちでいるときに、「何を食べたいか」ってなるかなと思っていて。温フルーツだとダメだっていうことがすごくわかりやすいのは、シャリに冷たいフルーツだったら刺身の代わりがフルーツになっただけで、1個ズレれば食べれるけど。野菜とかフルーツにズレたうえで(さらに)温かいと、2個ズレるとちょっとこう・・・
つまり、もともと持っていたブランドとか、定着の土台から1個ズレるくらいは新しいんだけど、2個ズレるとちょっとわけわからなくなるのかなっていうことを、いまそういうことを感じながら聞いていたんですよね。
尾上:なるほど。新しすぎちゃって、あまり帰って来れなくなったりとか。
嶋野:企業の広告でも、1個新しいならいいけど、2個行き過ぎると。
尾上:まあ帰って来れないとか、言いますよね。あと、みんながそんなに理解してくれなくなっちゃう。技をかけすぎてる問題みたいな。
嶋野:だから、逆に新しくすればするほど、俺は外れるんじゃないかなって。
行動を起こしながら、アイデアを考えるスイッチを常に入れる
嶋野:新しいものをつくるときっていうのは、どういうスタンスでつくられているんですか。
堀川:まず仕入れに行って。仕入れに自分で行かなかったらダメなんですよ。必ず豊洲と、豊洲市場はうちは魚ですね。で、築地の場外は野菜とか果物。で、両方を見て、絶えず新しいものについて売っている人に聞いたりして。そこからですね、いろいろアイデア出てくるのは。だから現物がなかったりしても、アイデア出てこないですよ。
秋谷:「わあ〜!」って驚かせてあげるのが好きなんですよね。
堀川:そうそうそうそう。喜ぶからね。
尾上:シェアされていく感情もやっぱり驚きになっている。こんなにおいしいものが、こんな組み合わせがあったんだって。
堀川:そうそうそうそう。
秋谷:こっちは意図してなくて、最後においしいもの、甘いものを食べておいしいなと思っていたんですけど、Twitterで感想を書いてくれている人は、「ほぼみんな一番おいしかったものはフルーツのお寿司です」みたいな。人に伝えたいところまでいくものって、やっぱり驚きがないとダメなのかなっていうのは思っていて。
尾上:やっぱり現地に行くのは大事だなっていう。そこでいろいろ聞いたり考えたり。机に座って考えるぞっていうよりは、常に考えるぞっていう感じというか。そのスイッチをずっと入れていることはすごい大事なんじゃないかなと思わされますね。
嶋野:担当商品の現場、売り場をちゃんと見るっていうことは、我々に近いですし。ちゃんとそれがいま世の中にどういうふうに捉えられてるかっていうのをSNSで見て参考にするみたいなことですよね、我々に置き換えると。
尾上:ご自身でお店やられてる方とかも、誰かに委ねちゃってる部分があるんだったら、そこを自分でやってみたらどうなのかとか。もっとこまめにお客さんを見てみるとか、そうすると見えてくる部分があるのかもしれないですね。で、そういう人たちを驚かせたいっていう気持ちがあるっていうのも結構大事かもしれないですね。ワクワクさせてやりたいっていう。アイデアで人を驚かせようっていう姿勢が、今の時代と合ってるというか。みんなの反響がすごいスムーズにつながってるんだなということを見ていて感じました。
尾上:ということで、ほり川さんの前半パートはここまでということで。次回はSNSの運用方法とかのコツを聞いてみたいと思っております。
嶋野:ところで、尾上さんの個人SNSの運用方法のコツってなんですか?
尾上:コツですか?そんなに意識したことないんですが・・・。しいていえば、あまりガチガチにカッコつけすぎないとかですかね。
嶋野:いやいや、あるじゃないですか。必殺の「下からマウンティング」。相手より弱者だと見せかけてからの、強烈なアッパーカット。
尾上:ちょっと何言ってるかわからないところですが・・・。ということで、我々は引き続きお便りをお待ちしてます。これからのクリエイティブの話でも、好きな寿司ネタの話でも。
嶋野:何でもいいのでください。めちゃくちゃ待ってるよね。
尾上:はい、心からお待ちしてます。よろしくお願いしまーす。
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