日本の重工業業界において、167年もの歴史を誇るIHI。創業時まで遡れば、ペリー来航時にまでたどり着くという。その製品とサービスを数え上げれば、造船から橋梁、果ては航空宇宙開発事業に至るまで、驚くほどの幅広さで社会課題のソリューションを生み出してきた企業だ。
そんなIHIにも強い課題感を感じるテーマがあったという。それが社名の認知度だ。
同社コーポレートコミュニケーション部の植野頼奈氏は語る。「元々の社名である石川島播磨重工業からIHIに変更して、もう14年が経ちます。元の企業名は、年配の方々からは一定数知っていただいているのですが、IHIとなると、若年層からの認知度がどうしても低い。その影響もあり就活生の応募も減ってきていました」。それは、社名変更後、継続して行っている企業認知度調査の結果からも明白だったという。
その結果生まれたのが、20~30代に刺さるよう意識してつくられた、「航空宇宙開発篇」「エネルギー篇」「社会インフラ篇」「産業ソリューション篇」の4 本のCMだ。ポイントは、若年層への「なじみ深さ」と「音」だ。「産業ソリューション篇」を例にとろう。彼ら彼女らにとってなじみ深い飲み会のシーン。参加者のひとりが目の前の人物に出身を尋ね、「ドイツ」と答える。すると突然、「『ドイツ』と言えば『ビール』。『ビール』といえば『生き返る』……」など、いわゆる「連想ゲーム」が始まるのだ。そして最後に、「……『技術』といえば『IHI』」で締めくくられる、といった内容だ。
この一風変わったテレビCM。様々な案が出たが、“無難なもの”にはしたくなかった、と植野氏。「課題である若年層への認知度。これがさらには、年々低下していったのが調査結果より分かりました。もちろん、2007年の社名変更以後、継続してCMや新聞広告は打ってきましたが、結果は今ひとつでした」。というのもこれまでの広告は、事業説明がメインだった。しかし、「そもそも企業名の認知が得られなければ、事業に対する興味さえ持ってもらえないと考え、そこでまずは若者への企業認知の獲得、という目的達成に“全振り” するものにしました」。
ちなみに、この企業認知獲得への姿勢はCM以外にも。例えば、Twitter。IHIの「H」の由来に関するツイートを画像付きで投稿したところ、思わぬ数の反応が。「特に“バズる” ことを意図した投稿ではありませんが、大きな反響があり驚いています」。
……ユニークな本CM。その分、30秒、60秒と限られたCMの時間内で、確実に「IHIという企業名の訴求」という目標の達成につなげるため、植野氏はクリエイターらと綿密に打ち合わせたそうです。そうしたプロセスの詳細は月刊広報会議12月号で!ぜひチェックしてみてください。
『広報会議』2021年12月号
【特集】DX・脱炭素…社会課題を企業価値に変える
BtoB新コミュニケーション
GUIDE
BtoBの企業ブランディングには経営的意義がある
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CASE1 清水建設
現場の中を見せ、人とデジタルの“共存”伝える
CASE2 J-POWERグループ
水素発電など、事業に携わる社員をCM&漫画で発信
CASE3 IHI
吊り橋から宇宙まで、日常と自社を「音」で結ぶCM
OPINION
訴求の切り口を「商品」から「人」「社会課題」に切り替えよう
大林健太郎(千葉テレビ放送プロデューサー)
CASE4 スタディスト
「導入事例」で関心高め、働き方改革のPRも
CASE5 シーユーシー
企業成長で生じたズレを解消するリブランディング
CASE6 スリーエム ジャパン
当たり前だった社会貢献を改めて動画で発信
OPINION
求心力となる「企業広告」独自性のある言葉を紡ぐには
小川祐人(電通 コピーライター)
【特集2】
価値創造のストーリーを語る
統合報告書
CASE1 DIC
化学メーカーとしての責任 積極的にESG情報を開示
CASE2 東京応化工業
長期ビジョンは過去から語る ありたい姿の伝え方
CASE3 日本ユニシス
社会的価値を創出する企業へ 変革期の発信
【特別企画】
ユーザー視点で見直す
コーポレートサイト
CASE1 村田製作所
グローバルBtoB企業のUX設計
CASE2 日本紙パルプ商事
情報の探しやすさの先にあるブランド浸透、事業理解
REPORT
ウィズコロナ時代の
「コーポレートサイト」はどう変化
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アークコミュニケーションズ
PICK UP
UX設計の起点は直に聞く「エンドユーザーの声」
従業員の発想が変わる! ワークショップ
ソニーネットワークコミュニケーションズ
【PR JOURNAL】
広報担当者のための企画書のつくり方入門
著名人、インフルエンサー活用
「口コミ」創出のための企画書
片岡英彦
オフィスの今と未来を考える
阿部智和(北海道大学 准教授)
職場の多様性と経営倫理
谷俊子(関東学院大学 経済経営研究所)
スポンサーシップ未来予想図
山口志郎(流通科学大学 准教授)
広報のための行動インサイト
山田 歩(滋賀県立大学 准教授)
広報メディア温故知新
飯田 豊(立命館大学 准教授)
【TOPICS】
知花くららインタビュー
未来をつくる企業 菅公学生服
データで読み解く企業ブランディング
企業広報戦略研究所
リモートワーク環境下での心の距離の縮め方と雑談力
ブライトコーブ
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実践! プレスリリース道場
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炎上で欠かせない広報の視点
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周年イヤーの迎え方
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社員を巻き込む社内報のつくり方
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社会情報大学院大学
理念と行動を社会と共有し、
組織を導く広報・情報人材(修士)を育成
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メディア研究室訪問
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