何をやらせても得意な“横幅世界一”を目指す
権八:最近よくゴルフのことツイートされてるじゃないですか。ゴルフは今どの辺まで来てるんですか?
武井:今僕48歳なんですけど、50歳からシニアツアーがあるんですよ。レギュラーツアーというのは本当のしっかりとした、予選会とかを通った人が戦ってるトーナメントがあって。それの50歳以上のおじさんたちだけのツアーが世界中にあるわけですよ。それに何とか出たいんです。
アメリカなんかはPGAツアーのチャンピオンとか、マスターズや全英、全米チャンピオンばっかり出てるんですよ。僕らの世代というと、ビジェイ・シンとか、つい数年前まではジャック・ニクラス、ゲーリー・プレーヤーとか。今はその次の世代のタイガー・ウッズがデビューした頃の超メジャー選手たちが今もう50歳以上になってる。僕らからしたらレジェンドみたいな人たちがツアーで戦ってるんですよ。
日本のシニアツアーも、日本のプロやツアーをたくさん優勝した選手たちがごっそりいるんです。ジャンボ(尾崎)さんたちが活躍してた頃のトッププロの人たちが今ほとんどシニアにいるんで、僕からしたら昔のテレビ見てるみたいな気分。「うわー〇〇選手だ!」みたいな事ずっと言いながらできるし、その人たちと一生遊べるって最高じゃないですか。
ツアーを管轄してるJGTO(日本ゴルフツアー機構)の予選会を通ると日本ツアーに出れるんですね。これは一次、二次、三次、ファイナルの4回勝ち抜かなきゃいけないからめちゃめちゃハードル高い。みんなうまいし……。シニアツアー自体は、PGAっていうプロゴルファーを認定する機関が認めたプロだったら、最悪出場する資格はあるんですよ。ただ、予選会で上位に入らないとツアーには出られない。
でも、推薦枠があるんです。予選会には出てないけど、例えば丸山茂樹さんや中嶋常幸さんといった人気選手たち。彼らが出るとスポンサーも喜ぶし、プロアマも盛り上がるし……。主催者が「この選手に出てほしい」って言ったら出られる推薦枠を広げようということで、一応今プロの資格持ってたら全試合推薦で出れるらしいんですよ。だから僕がプロの資格を取って主催者の方が求めてくれれば、全試合出れる可能性がある。今フェンシング業界でも、ゴルフのスポンサーをやっている会社の方ともお付き合いするんで、もしかしたらチャンスあるなと思ってて(笑)。その1試合で賞金ぽんっと稼いちゃえば、次の年からシード権も取れるだろうし。
アメリカなどでは、ツアーの下に下部ツアーがあって、さらにその下にミニツアーがあるんです。各州で数十人のプロが集まって300ドルぐらい出し合って、賞金の取り合いをするツアーが認められているんです。それは誰でも参加できるんですよ。「今週から僕プロ登録します」ってホームページで登録して、試合会場に行ってエントリーさえすれば出れる。そういうのも、アメリカ行ってただ旅行するだけじゃなくて、週末に「ちょっとミニツアー出るわ」って、数百ドル持ってコース行って戦うっていうのも豊かな人生だなと思って。
そのツアーは地球上いろんなところにあるんです。サウスアフリカ、韓国、中国、カナダ、ヨーロッパにもヨーロピアンツアーっていうナショナルトーナメントみたいな大きいツアーがある。ゴルフは一生地球上で遊べる、ナイスなコンテンツなんですよね。体力もまだあるんで、地球上でずっと遊べるスポーツのプロの資格を片っ端から取りたい。ビリヤードも、去年は家にビリヤード台置いて、ずっとプロテストの練習してたんで、もうちょっとで受かるぐらいまで来てますよ。
権八:すごいよね。
武井:ボウリングも楽しいし、馬術も最近番組やらせてもらって馬に乗れるようになったんで。何でもいけるなと思っています。芸能活動がちょっと落ち着いたら、地球上いろんなとこ行って楽しくスポーツで遊びながら暮らすのが豊かな生き方だなと思ってるんですよね(笑)。
澤本:世界に70億人いて、それできる人って5人いないよね。
中村:全部を、そのクオリティで。
武井:僕、この10年のコンセプトがあったんですけど、まさにそれで。オリンピアンで金メダリストは、その1個の競技を縦に究極に能力を伸ばした人じゃないですか。僕が狙ってるのは、その高さを横に倒してみたら俺の方が幅広かったっていうこと。縦の世界一を目指している人は、地球に山ほどいるんですよ。そこに1からチャレンジして、その競技の中で1位取るのはすごい確率の低いギャンブルと同じ。だけど、それを横に倒したら、そこを狙ってる人ひとりもいなかった。
“横幅世界一”が僕の今のメインテーマなんです。それはタレントもそうだし、日本フェンシング協会の会長をやったのも、多分日本のタレントで初めてだと思うんですよ。陸上競技の日本チャンピオンでシニアの世界チャンピオンも獲ってて、さらにタレントとしても活動して、オリンピックとパラリンピックではマイクを持って、さらに協会の会長やって選手に金メダルを獲らせたっていうのは、多分地球で僕だけじゃないかなと思ってるんですよね。
澤本&権八&中村:(爆笑)。
澤本:もう“百獣”どころじゃない。
武井:陸上も十種競技っていう横幅の広い競技やったんだから、僕のスペシャリティは、横幅。何を広げても一番得意な人間になれること。
中村:まさに百獣の王であり、十種競技ともつながってる。計算としてずっと一気通貫してるんですね。めちゃくちゃ面白い。
武井:器用貧乏って言葉があるじゃないですか。それの最上級、“器用大富豪”を目指してます。
澤本&権八&中村:(爆笑)。
権八:“器用大富豪”、良い言葉だなあ。
武井:キャッチーで良いなって思って。全てのスポーツでプロレベルっていうのはあんまりいないんで。横幅世界一目指したいと思います。
権八:スポーツに限ったことのようにおっしゃってるけど、実はいろんなヒントがある。リスナーの中にアスリートバリバリの人はそんなにいないだろうから「真似できないな」って思っちゃうだろうけど。でも、あるスポーツで得たエッセンスを違うところに応用していくというのは、つまりどこかで得たリソースを別の分野でも生かすということで、これからの生き方になる。広告をやってる人にとってもすごい参考になる話。今は「テレビCMずっとやってた人が、今後もずっとテレビCMだけやってたら良い」って話じゃなくなってきてるし、メディアもどんどん増えてるしね。
武井:広告を出す場所も増えてますしね。
権八:そうなんですよ。
武井:今何でも広告になってますよね。タクシーなんか広告の坩堝(るつぼ)みたいになってる。発展の仕方がすごい。タクシー広告はどれも個性的でテレビよりもドラマ仕立てじゃないですか。つい見ちゃいますよね。広告も幅が広がってるんですね。
権八:そんな気はしますね。
武井:幅広い用途を持った商品が出たら、全部俺のところに広告来てくれないかな?
一同:(爆笑)。