第7回 SNSを使って話題を呼ぶ、73歳の寿司職人「鮨ほり川」(後編)

どの職業も学び続けなければいけない

堀川:自分の財産だけで勝負すると、いつかダメになるということだと思う。残るものもありますよね。でも残るのは一部だけじゃないですか。ほかは全部消えてなくなっちゃう。だから、自分の場合はどんどん教えて、教えるということは、自分はまた学ばなきゃいけないから。

 

尾上:はい。これはすっごい大事だなと思いました。
なんか、自分の財産だけで勝負しがちだなっていう。僕らなんか、まだ10年ちょいしか働いてませんけど。堀川さんすごいですもんね、もう50年以上職人をやられていて。

嶋野:ねえ。その方が「まだ学び続けている」っておっしゃられているのは本当にすばらしくて。やっぱりどの職業も学び続けなきゃダメですよね。

尾上:そうですね。かつ、それをどんどんみんなに教えていくっていう。教えると、自分はまた学ばなきゃいけないっていうのが。

嶋野:真理ですね。

尾上:真理ですね。レシピも全部公開されていますからね。ぜひ皆さんも試してみてください、トマト豆腐鍋とか。「ほり川 レシピ」で調べると出てきますので。おいしいです。

近しい他人が魅力を翻訳することで、世の中が共感しやすくなる

尾上:といった感じで、堀川さんのお話を伺ってまいりました。なんとなくラップアップ的にしていきますと、アイデアを常に考えるという姿勢がやっぱり大事だよなと。ちゃんとお客さんを見て、売り場とかその商品をちゃんと見て、考えていくということが大事で。あと、人を驚かせたいって気持ちとか。

もちろん驚かせたいっていう気持ちとかも大事なんですけど、その下にある技術というか、ちゃんとしたものもつくるし、ちゃんと新しい客だけじゃなくて、常連のほうも向いてやっていくんだよという、どっちかだけにならない感じも大事ですね。伝統と革新というんですか、そういったものもすごい大事だと思いました。

もしみなさんも何か伝え方を考えられて、自分の中でこれがいいんじゃないかっていうことが見つかる、ワクワクするようなことが見つかって、それを人に広げて客が来たときに、そこではその人たち向けにコースを考えるとか、また新しいやり方を考えなきゃいけないと思いますし。それがみんなに喜ばれて、また驚きとして広まって、さらに新しいお客さんを呼んでいくっていうループが生み出されるんじゃないかと。そういったお話だったかなと思います。

嶋野:なぜ、ほかにたくさんお寿司屋さんがあるのに堀川さんは、特にSNSでこんなに人気が出たんだと。一番のポイントはどこだと思って聞いてました?

尾上:うーん。でもやっぱり、柔軟さというか。常に新しくいようとする感じが合ってるんじゃないですかね。もちろんフルーツ寿司とか、そういうものが広まってるっていうのもあるとは思うんですけど。

このあともまだ全然ヒットを飛ばしそうな感じがするんですよね、堀川さんって。いまだけじゃない感じがするというか。それはやっぱり裏側にあるスタンスというか、新しくおもしろいものを取り入れてやっていこうという、そこなんじゃないかなと思います。もちろんそういうお寿司屋さんはほかにもいっぱいいらっしゃると思うんですけどね。あとは秋谷さんとのコンビネーションというか。

嶋野:私はわりと秋谷さん、もとから知り合いの人に託したっていうことがすごく、僕はやっぱり一番大事なところだったんじゃないかなと思っていまして。SNSの投稿ってみなさんだいたい自分でやってるけれども、自分のことが自分でわからないことはたくさんあって。それを人の、近くにいるけど他人が見て、そこで魅力を翻訳して伝えてくださることによって、世の中の人が共感しやすくなってるなと思っていたので。

そういうパートナーは別に、これはたまたま知り合いだから見つかったところもあるんですけど、そういう人を見つけるところからスタートするのもいいなぁと思って聞いてました。家族にお願いしてもいいと思うんですよ。僕がよくTwitterで見る漫画家さん(福満しげゆきさん)のツイッターでは、いつも「福満しげゆき(妻)」さんが夫の漫画をコメントつきで投稿(@fukumitsuu )するんですね。それが、妻という視点から見たときの投稿文だから、視聴者はわりと共感しやすくて。

尾上:なるほど、ユーザー視点ですね。そういうコンビネーションのやり方っていう、たしかに。

嶋野:私はそこが一番いいかなと思って聞いておりました。

尾上:なるほど。そうですね。これまでの伝え方は、基本お一人でやられてましたけど、二人三脚的なやり方も。

嶋野:そうですね。いいまとめでしょう。

尾上:いいまとめですね。ありがとうございます。
今回も学びがありまして。お寿司もおいしかったですし。

嶋野:おいしかったですね。

尾上:はい。みなさんぜひお店に行ってみてください。

嶋野:ちなみに、尾上さんはどんな寿司ネタが一番好きなんですか。

尾上:僕はエンガワが一番好きです。

嶋野:いやあ、さすがツウですね。僕も大好きですね。
あとは、ほり川さんのTwitter(@sushi_horikawa )、非常におもしろくていつも旬のお寿司がでてきて楽しいので、ぜひフォローしていただきたいなと思っております。
ということで、我々は引き続きお便りをお待ちしてます。これからのクリエイティブの話でも、寿司ネタの話でも。

尾上:何でもいいんで、ください。

嶋野:何でもいいですよね。

尾上:はい、お待ちしてます。よろしくお願いしまーす。

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嶋野裕介、尾上永晃
嶋野裕介、尾上永晃

嶋野裕介(電通CDC クリエーティブディレクター/PRディレクター)しまの・ゆうすけ/東京大学を卒業後、電通入社。大阪出身なのに関西弁がとても下手。主な仕事はトヨタ自動車「TOYOTA #金曜日の新垣さん」、ソフトバンク「SoftBank 企業広告シリーズ(2019〜)」「民放114局合同番組 一緒にやろう2020」「3cm market」「フリー素材アイドルMIKA+RIKA」など。Cannes Lions、Spikes Asia、Adfest、ADC、ACC、OCCなど受賞。趣味は“新聞”を読むこと(好きなコラムは「窓」と「折々のことば」)。/尾上永晃(電通 プランナー)おのえ・のりあき/2009年電通入社の平社員。企業広告からまちづくりまで臨機応変なコミュニケーション設計をしている。最近の主な仕事は、ネットフリックス「リラックマとカオルさん」、スクウェア・エニックス「ドラゴンクエストウォーク」、日清食品「チキンラーメン アクマのキムラー」、東急電鉄「池上線フリー乗車デー」、宮本浩次「宮本独歩」など。ACC、Adfest、電通賞グランプリ、TCC新人賞やCannes Lions、文化庁メディア芸術祭など受賞。散歩ばかりしている。

嶋野裕介、尾上永晃

嶋野裕介(電通CDC クリエーティブディレクター/PRディレクター)しまの・ゆうすけ/東京大学を卒業後、電通入社。大阪出身なのに関西弁がとても下手。主な仕事はトヨタ自動車「TOYOTA #金曜日の新垣さん」、ソフトバンク「SoftBank 企業広告シリーズ(2019〜)」「民放114局合同番組 一緒にやろう2020」「3cm market」「フリー素材アイドルMIKA+RIKA」など。Cannes Lions、Spikes Asia、Adfest、ADC、ACC、OCCなど受賞。趣味は“新聞”を読むこと(好きなコラムは「窓」と「折々のことば」)。/尾上永晃(電通 プランナー)おのえ・のりあき/2009年電通入社の平社員。企業広告からまちづくりまで臨機応変なコミュニケーション設計をしている。最近の主な仕事は、ネットフリックス「リラックマとカオルさん」、スクウェア・エニックス「ドラゴンクエストウォーク」、日清食品「チキンラーメン アクマのキムラー」、東急電鉄「池上線フリー乗車デー」、宮本浩次「宮本独歩」など。ACC、Adfest、電通賞グランプリ、TCC新人賞やCannes Lions、文化庁メディア芸術祭など受賞。散歩ばかりしている。

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