再びマーケティング領域で注目されるPR ロングセラーを多数持つカルビーの事例

2000年頃から、「戦略PR」という言葉や概念が浸透し始め、マーケティング、マーケティング・コミュニケーション活動におけるPRの重要性が認識されるように。
数多くのブランドを展開するカルビーでは、マーケティング部門の中に「PR・宣伝担当」という部署を設けている。同部署を率いる野堀和哉氏に、カルビーが考える今後のマーケティング・コミュニケーションのあり方、「PR・宣伝担当」部署のミッションについて、話を聞いた。

カルビー
マーケティング本部
PR・宣伝担当
野堀 和哉 氏

 

コミュニケーション全体を司る「PR・宣伝担当」のミッション

1949年の創業以来、「ポテトチップス」「かっぱえびせん」「じゃがりこ」など数多くのブランドを世に送り出してきたカルビー。
同社ではマーケティング本部内に、広告宣伝やPR、イベントなど、プロダクトの幅広いブランドコミュニケーションを行う「PR・宣伝担当」という部署を設けている。
部長を務める野堀和哉氏は、1997年にカルビーに入社。2014年から広告やPRを担当している。

「2014年時、私が所属していた組織の名前は『コミュニケーション課』。当時から、広告宣伝のみを行うのではなく、広範囲の手法で消費者とコミュニケーションをとることがミッションとされてきました」と野堀氏。

野堀氏は、このような組織体制には、同社が保有するブランドの多様さがかかわっていると述べる。

「当社には、40周年、50周年といったロングセラーブランドが多く存在する一方、毎年新ブランドも誕生しています。広告宣伝費をどう分配するかというと、やはり、いち早く認知を拡大したい新ブランドに多くの費用を使用することになります。このような状況で、ロングセラーブランドも継続的に成長させていくためには、広告以外で費用をかけないコミュニケーションを行う必要がある。その手法のひとつがPRであり、私たちの部署が、広範囲のコミュニケーション施策の実行を役割として持つ理由だと考えています」(野堀氏)。

同社がこれまで実施してきたPR施策のひとつに、2016年に「ポテトチップスのりしお」のPRとして実施した、那須どうぶつ王国で人気のカピバラ“のり”と“ソルト”の2匹を新入社員として迎え、PR担当に任命した事例がある。“のり”と“ソルト”は実際に新入社員として入社式にも参加した。

2016年に「ポテトチップスのりしお」のPRとして実施した、カピバラの“のり”“ソルト”の入社式の様子。実際にPR担当としての「辞令」も授与。“在宅勤務”を取り入れるなど、社会の潮流を捉えた内容でも注目を集めた(※画像内の「ポテトチップスのりしお」は2016年当時のパッケージで、現在のものとは異なります)。

「当時は社会でダイバーシティが叫ばれ始めていた頃。ダイバーシティを推進するカルビーとして、人間だけではなく、カピバラにも入社してもらおうと考えた施策でした。このような社会で注目を集めているファクトを織り入れることが、PRとしてのポイントのひとつです」と話す。

また、2017年度に開始した「♥JPN(ラブジャパン)」プロジェクトでは、47都道府県の県庁と協力し、それぞれの“地元ならではの味”を再現した「ポテトチップス」「堅あげポテト」など、主要7ブランドの商品を開発した。本プロジェクトでは、商品が完成した際、各都道県の知事への表敬訪問を行い、その場で記者発表会を行うことで地元メディアでの露出も狙ったという。

広告とPRを組み合わせより効果的な露出を図る

これからのマーケティング・コミュニケーションについて野堀氏は、「広告宣伝単体、PR単体ではなく、双方を組み合わせることが露出の拡大につながる時代」であるという。

―本記事続きは、月刊『宣伝会議』12月号で読むことができます。
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月刊『宣伝会議』12月号

▼特集2
コモディティ化と成熟化を乗り越える!
マーケティングPRの最前線
 
・メディア露出の文脈まで意識
多数のロングセラーを持つカルビーのPR
カルビー 野堀和哉
・コロナ禍での適切な情報発信で露出を実現
ダイキン工業のブランド戦略
―PRアワードグランプリ事例から
ダイキン工業 片山義丈
 
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