テイクアウトやデリバリーの成否で外食産業復調の明暗が分かれている。日本フードサービス協会が11月25日に発表した10月度の市場動向調査で、ファストフード(洋風)の売上高前年比は111.8%、新型コロナウイルス感染症の拡大前の2019年比でも122.2%に拡大した。店舗数は減ったものの、客数、客単価共に伸ばし、1店舗あたりの売り上げが伸びている。全体では前年比99.5%、一昨年比93.9%となった。
テイクアウト・デリバリーが好調要因。「持ち帰り米飯・回転寿司」カテゴリーでは、前年比105.9%。緊急事態宣言解除後も一部時短営業や酒類提供自粛の要請が続いたファミリーレストランの「中華」でも、売上99.9%と前年並みに戻した。
店舗が徐々に営業を再開したパブ・居酒屋業態は厳しい状況が強いられ続けており前年比69.2%、一昨年比では46.5%となった。「パブ・ビアホール」の売上は77.2%(一昨年比41.7%)、「居酒屋」は64.9%(一昨年比50.3%)。酒類メーカーの業務用販売にもまだ色濃い影を落としそうだ。
ファストフード業態の「洋風」の伸び率を個社で上回ったのは、日本マクドナルドの114.6%と、モスフードサービスの114.0%。両社ともにデリバリーやテイクアウトは注力領域で、日本マクドナルドは9月末時点でデリバリー対応店舗は1897店舗。全店舗中の実施率では64.7%に伸ばしている。モスフードサービスのデリバリー対応店舗は9月末時点で542店舗。実施率は43.3%となった。同社はテイクアウト専門店や25坪以下の小型店の出店も増やしている。
ビジネスパーソンを大きな客層とする「麺類」や「ディナーレストラン」「喫茶業態」も苦戦している。出店先のオフィス街に通勤客が戻らず、「麺類」は前年比95.5%、「喫茶業態」は同比96.5%。ディナーレストランは大人数宴会や法人需要が復活せず、売上は89.9%となっている。
政府が11月19日に開いた新型コロナウイルス対策の専門家らによる基本的対処方針分科会では、事業者に出勤者数の7割削減を働きかけるとした目標を削除。一方、8日に経団連が発表した「7割減目標の見直し」には非難の声もあがっており、かつてのように人出が戻るかはまだ不透明だ。