公正取引委員会は12月6日、ネットモール「楽天市場」上で送料無料となる注文金額の一律規定を巡り、楽天の出店者の取り扱いに対する独占禁止法違反の疑いについて、審査を終了したと発表した。楽天は、一律規定の対象外申請をした出店者に不利益が生じないよう、改善措置を講じる。
一律規定は、出店者向けに「共通の送料込みライン」、利用者向けには「送料無料ライン」と発表している規定で、一部例外を除き、割引前の注文金額が3980円以上の場合には、購入者から送料を追加で徴収することなどを禁じたもの。
楽天側は今後、「送料無料ライン」について、出店者側の意思を尊重し、事業活動に影響を及ぼさないよう、対応方針を改め、改善措置を講じる。違反した場合の通報窓口も設ける。公取委の審査時点では、楽天から出店者に対し、「楽天市場」内の検索結果の上位に表示しない、不参加のままであれば次回契約時に退店となるなどの不利益を示唆していた事実があったという。
「送料無料ライン」に参加するかどうかを選べるのは、2019年7月以前に出店した事業者で、楽天は同年8月1日以降は参加を出店条件としている。21年6月末時点の出店者数は約5万5200店舗で、11月時点での「送料無料ライン」導入店舗は約92%。
楽天は、送料が無料となる注文金額を一律にすることで、「楽天市場」ユーザーの利便性が増し、売り上げを伸ばす効果があると説明する。導入店舗の売り上げ成長率は、未導入店舗より約18ポイント高く推移しているという。一方、公正取引委員会によると、商品価格に送料分を上乗せできない、上乗せしても購入者が減る、まとめ買いをする金額が下がって客単価が低下した、などの不利益が生じていたという。
公取委は2020年2月、楽天が「送料無料ライン」を全出店者へ一律適用しようとした際、独禁法違反の容疑で立入検査を行い、東京地方裁判所へ緊急停止命令を申し立てを実施。楽天の対応を受けて申し立てを取り下げた後も審査を続けていた。