顧客との関係性を強化する上でも欠かせないSNSだが、ファンマーケティングが売上への貢献を明確にすることは難しかった。この課題を解決するべく動き出したのがファンマーケティング事業を展開するBOKURAだ。
同社が独自に開発したファン定義指標について、代表取締役の宍戸崇裕氏が解説する。
SNSコミュニケーション相談 コロナ禍の1年でさらに増加
顧客との直接的な接点が失われる事態を招いたコロナ禍を経て、いま企業は顧客との関係性を強化する必要性を強く認識するようになった。顧客との関係値を深めるためのコミュニケーションにおいて期待されるのがSNSだが、運用にはノウハウとリソースが必要であり、課題を抱える企業は多い。加えて、SNSで培った心理的なエンゲージメントがどう売上に貢献するのか。ROIの把握が難しく、活動の継続性が担保できないという声もある。
そうした課題に応えるのがSNSの運用サポートやファンマーケティングを支援するBOKURAだ。
代表取締役の宍戸崇裕氏が、とある飲食チェーン店の「神対応」ともいえるSNSコミュニケーションを見たことで、心理的なエンゲージメントを深める手段としてのSNS活用に着目。「神対応であふれる社会に」というミッションのもと、ファンマーケティングやSNSマーケティング領域で事業を展開してきた。
2015年の創業以来、ユースキン製薬、スカパーJSATなど、多くの企業・ブランドのSNSを支援している。コロナ禍では、多くの企業が顧客接点におけるSNSの価値に着眼したことで、大手企業によるSNSアカウントの運用の見直しや小規模ブランドがSNS活用を始める動きが顕著になってきたという。「この1年でSNS運営についての相談件数が増加しています。」(宍戸氏)。
企業・ブランドのファン度を測る 独自で開発した4つの定義
しかし、これまでのファンマーケティングでは、ファンを増やすことと売上の因果関係は解明しづらいという課題が存在。それゆえ、ファンとの関りによって生まれる従業員満足など、人の感情面がクローズアップされてしまいがちだった。
そこでBOKURAでは、これまで培ってきた“SNSでのファンづくり”の知見を生かし、ファンの定義や、ファン化のスコアリングなどを実施。ファンが企業やブランドの売上に貢献する度合いを数値化するための指標を、独自で設定した。
ファンを定義する方法として同社では、まずブランドへの“愛”、“知識”、“売上”、“推奨”の4種類を設置。各項目をさらに5段階に分類し、計20個の細分化した項目を作成、それぞれにスコアを割り当てた。そのスコアに応じてファンの分類がなされるようになっている。「定義する材料になるのが顧客によるSNSの投稿です。実際に商品を購入して売上に貢献し、体験し、ブランドへの知識をもって誰かに勧めているか、という情報は投稿内容から判断しています」(宍戸氏)。
では、ファン度が把握できたとして、それを高めるには何をしたらいいのか。同社では、ファンマーケティングの実現におけるフェーズを16段階に分割、それらをさらに具体化させたチェック項目を164個設定した。項目が埋まれば埋まるほど、企業のファンづくりが進んでいると判断される。これまで定性的に捉えられていたファンの指標を、スコアとして数値化することで、より定量的な分析が可能となった(図表❶)。
POSとSNSアカウントを連携 ファン層をよりクリアに
ファンの定義化に努めているBOKURAだが、“神対応”のSNS運用に抜かりはない。顧客のSNSアカウントを、POSから得た購買データと統合することで、売上貢献度の可視化にとどまらず、より緻密なファンの心理や行動もスコアリングも可能にした。
「店頭で購入してくれたどのお客さまが、SNS投稿したのかがわからなければ、どの程度ファンでいてくれているのかは知り得ませんよね」。
購買データとSNSアカウントを統合し、ファン像をよりクリアにしている企業は少ないと宍戸氏。同社でも大いに支援していくという。
SNSはオープンな場所から クローズドなコミュニティへ
SNSはオープンな場所というイメージがあるが、昨今注目を集めているのが、熱量の高いファンだけを集めたクローズドコミュニティだ。宍戸氏は今後、このコミュニティの存在意義が大きくなっていくと予測している。
オープンな場で不特定多数に発信してファンを「0→1」にするのと、ファン度が高い人たちのみに発信して「1→10」にするのとでは、後者のほうが工数も少なく済むという。「現在のSNS投稿は企業側から話題を投げかけたうえで拡散してもらう手法がメインです。
しかし、理想は熱量の高いファンがクローズドコミュニティの中で自発的に情報発信してくれること。そこに達するまでのフローを描けている企業は少ない印象ですが、今後重要になると確信しています。BOKURAがその一助となることで、これまでにない価値提供をしていきたいです」(宍戸氏)。
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株式会社BOKURA
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