急拡大の仕事管理ツール
日本のナレッジワーカーは、業務時間の約25%をメールの作成や返信に費やしているというデータがある。とくにマーケティング関連業務は、複数のプロジェクトが同時並行することが多いため、 1日100通以上のメールが届くこともザラ。その処理に追われているうちに、「別件ですが…」と持ちかけられてタスクが混線することも“あるある”だろう。連絡、調整、確認、そして会議で1日が終わってしまうことも珍しくないはずだ。
何のために、誰が、いつまでに終わらせるべき案件だったのか? を見失わないためには、あふれる仕事の「目的」「計画」「責任」を明確にし、整理することが肝心。その一点に集中したワークマネジメントツールが「Asana(アサナ)」だ。
19年春に日本に上陸するや、同年末までに国内約1000社が導入。それから1年をまたず利用企業数は倍増した。2021年7月末時点で、世界の有料版ユーザー数は 10万7000に上る。
最大の売りは、企業ミッション、部門方針といった大きな目標のもとに、細分化されたタスクを紐付けて整理できること。プロジェクトごとに、自分やプロジェクトメンバー(社外メンバーも含む)が、いつ、どのタスクをこなしていくかが一目瞭然に把握できるインターフェイスが特徴だ。しかも、同じ情報をガントチャートやタスクの一覧などの形式に切り替えることもでき、納期などに変更があればマウス操作ひとつで、すべてのスケジュールに反映される。
目的・計画・責任を明瞭にする
「Asana」導入直後に実感できる変化のひとつは、ムダなメールの減少だろう。各プロジェクトに所属するメンバー間で情報共有できるため「どの案件の何の話?」という前提なしで本題に取り組める。ファイルのやり取りもタスクごとにできるため、メール、ファイル共有サービス、チャットなど「どのツールで受信したのかわからない…」といった迷子状態から解放される。
「こうした、仕事に取りかかるための予備動作、回り道が、本質的な仕事を阻害してしまうのは、世界共通の悩みです」と指摘するのは、アサナ・ジャパンの兼城ハナ氏だ。アサナ社のグローバル調査では、ナレッジワーカーの勤務時間の実に6割が、こうした“回り道”に費やされていることが明らかになった。
毎日、少なくない時間が割かれる会議でも “回り道”が発生しやすい。たとえば、よいアイデアが挙がっても、どう進めるかといった「具体案」や、誰がいつまでにやるのかといった「責任」、はたまた、何のためにやるのか?など「目的」が不明瞭なまま閉会してしまうことはないだろうか? そして、次回の会議が記憶をたどる時間に占拠されるという負のループに陥ることも…。
「予防医学のスタートアップ、キャンサースキャンでは、会議と並行して『Asana』にタスクの入力と担当者の割り当てを入力することでこうした負のループを防いでいます。新興企業は特に、一人ひとりが八面六臂の活躍をしなければならないこともしばしばです。目的・計画・責任を明確にすることは、プロジェクトの成果につながることはもちろん、それに貢献できたと社員が実感し、モチベーションを保つ助けにもなります。ひいては離職防止にも欠かせないので、スタートアップから大企業まで重視されています」(兼城氏)
いわゆるOKR(目標と主要成果)管理のため、「Asana」を用いているのは日本航空だ。多数の人間が部署横断で業務を遂行する企業ほど、「この仕事は何のためにしているものなのか?」「どのような成果を出すものなのか?」という区分け、認識づけが細かく、業務の目的や成果と、各タスクのつながりが見えにくくなりがちだ。
「『Asana』を使えば、各社員のタスク持ち状況がひと目で把握できます。この人のタスクが遅れると、この人のタスクに影響が出るといった『つながり』もビジュアル化されているので、適時に適切なメンバーに仕事をアサインすることができます」(兼城氏)
広告出稿、イベントへの出展、自主セミナーといった、ある程度定型化されたプロジェクトを年に複数回実施するときにも「Asana」は力を発揮する。
「『Asana』で仕事を管理すれば、どのようなタスクがどんな順序で発生したか、誰がいつ、何の目的で、どのくらい時間をかけて何をしたか、といった記録(ログ)が残ります。個別にマニュアルを用意する手間が省けるほか、新たにプロジェクトを立ち上げる際も、テンプレート化して使用することができます」(兼城氏)
広告主もエージェンシーも、異動などで担当者が変わることは日常茶飯事である。既存メンバーなら何となく前例踏襲でこなせるくり返しの多いプロジェクトであっても、新規メンバーへの説明が、日程の記録だけでは心もとない。
「プロジェクトや関連業務が、全体の中でどのように位置づけられているのかが共有されていないと、再考する必要のない部分に何時間も費やしたり、必要な業務の重要性を過小に考えてしまったり、というリスクが高まります。『Asana』で全体の流れを整理して残している企業からは、こうした落とし穴を避けやすくなった、という声をいただいています」(兼城氏)
各分野のトップツールと連携
プロジェクトを進める上で障壁になりがちな点を解決できる機能を備えた「Asana」だが、それもそのはず。実は、米フェイスブックの共同創業者であるダスティン・モスコヴィッツ氏が、黎明期のフェイスブックで「Facebook」を構築、発展させるために不釣り合いなほど多くの時間や労力を注ぐ社員たちのために開発したツールだったのだ。
「Asana」は、「Facebook」などのソーシャルメディアが、人と人とのつながり=「ソーシャルグラフ」を可視化したのと同様に、企業としての使命や全体方針、それに基づく部門ごとの指針、部、課、チーム、個人の仕事と、それに付随する細かな業務(タスク)のつながり「ワークグラフ(Work graph)」を可視化することを狙いに開発されている。
仕事と仕事のつながりが見えないことの弊害は、コロナ禍で導入が進んだ「テレワーク」により顕在化された。
日本生産性本部の調査では、テレワークの課題として「職場に行かないと閲覧できない資料・データのネット上での共有化」(35.3%)、「営業・取引先との連絡、意思疎通をネットでできるような環境整備」(13.8%)、「上司・同僚との連絡、意思疎通を適切に行えるような制度、仕組み」(21.0%)などが挙がった。一方、テレワークで「効率が上がった」とする人は2021年4月で15.5%だったが、7月は13.4%と減少傾向にある。
「業務向けの便利なWebサービスも多く登場しました。それぞれ非常に便利であっても、整理しないまま横断して使うと、かえって仕事と仕事のつながり(ワークグラフ)が見えづらくなってしまうでしょう。『Asana』は各分野でトップを走る他社のツールとも連携でき、さらに高度な効率化を実現することができます。すでに慣れ親しんだツールと統合することで、報・連・相に忙殺されがちなマーケターの仕事が、実は大きく圧縮できることを強く実感いただけると思います」(兼城氏)
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Asana Japan
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