日清食品
マーケティング部
ダイレクトマーケティング課
ブランドマネージャー
佐藤真有美氏
押し付けにならない、喜ばれる仕組みをつくりたかった
「カップヌードル ローリングストック」の開発が始まったのは、2018年のこと。ブランドマネージャーの佐藤真有美氏によると、地震や台風、洪水などの自然災害の度に「即席めんの価値があらためて見直されていた頃でもあった」と話す。
その一方で、通販業界でも増えてきていたサブクスモデルを、同社でも導入するという話が出た。留意したのは、常に一定数の商品を届けるシステムでも「押し付けになってはいけない」ということ。便利で喜ばれる形はないか。その時に生まれたのが、「非常時のストック」と「自動配送」のモデルを組み合わせた、「ローリングストック」だった。
「“定額使い放題・食べ放題”というモデルは、当社のように1品1品に単価が付いている商品の場合はリスクが高い。そのため、ニーズのあるところに一定数を確実に届ける仕
組みを取ることにしました」(佐藤氏)。
「基本の9食」と調理用のカセットコンロ、保存水がセットになった初回配送は14,300円(税込)。入替用の9食セットは、3カ月ごとの配送で2,160円(税込)。1セットあたりの利益率は低く、長期的な利用を踏まえた上での価格設定だ。しかし“カップ麺をストックする”という習慣が根付いている場合も多く、続けることが前提のローリングストックの仕組みからも、解約率は低いのだという。利用者が増えるのは、「防災の日」がある9月と、東日本大震災が発生した3月。防災意識が高まることで、通常月の2.5~3倍程度の新規申し込みがあるという。
サービスの導入にあたり、定期配送の仕組みはすでに整っていた。同社がオンラインストアを開設したのは2000年。定額で月ごとにセレクト商品が届く「日清食品のおトクな定期便」は、10年以上前から続いていた。したがってシステムを追加開発する必要はなく、同梱内容や配送頻度など、コミュニケーションの仕組みづくりに時間をかけることができたという。
分かりやすいネーミングが社内外の話題をつくる
セットに含まれるのは、「どん兵衛」や「カレーメシ」など、「カップヌードル」ブランドの商品だけではない。したがってサービス名も、当初は「日清食品ローリングストックセット」で検討していたという。
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