プレスリリース配信サービスを運営するPR TIMESは12月13日、企業から配信のあったリリースにおいて設定の多かったキーワードについて、年・月別ランキングをそれぞれ発表した。対象は2021年1月1日~10月31日の10カ月に企業から配信されたプレスリリース総計23万990件。年間1位は「DX」。次いで「新商品」、昨年1位の「コロナ」が3位という結果となった。
トップに「DX」、平時に戻りつつある企業活動
今回のランキングは、企業がプレスリリース配信の際に登録した関係するキーワード(最大10個登録可)を集計したもの。キーワード登録総数は延べ175万7266個 に上った。
2021年の年間キーワードランキングでは、2020年の16位から大きく順位を上げ、「DX」が総合1位。計8279件のプレスリリースで使用された。コロナ禍の中での企業活動や日常生活でも欠かせないものとなった「DX」。業界別に「企業向けシステム・通信・機器」カテゴリに限定すると1月以降常に1位を保っており、 BtoB企業の情報発信においては絶対的な定番になっていると同社は分析している。
2位にランクインした「新商品」については、キーワード登録された 8094件の10.8%を超える880件について3位にランクインしている「コロナ」も併用して発信されており、コロナ禍に対応した新商品が数多く生まれているものと考えられる。
また、「オンライン」「おうち時間」「テレワーク」といったキーワードも2020年に引き続いて上位ランクインとなり、2021年もコロナ禍の新しい生活様式に必要とするサービスや商品の発表が増えていることが明らかとなった。
2021年も引き続きコロナ禍の影響を感じるキーワードが並ぶ一方で、 2019年まではランクインが見られた「ゲーム」「ホテル」「コラボ」といった一般ワードが再び2021年にはランクインしており、徐々に平時へ戻りつつある状況を示している、と同社は分析している。
また、 企業活動に限らず日頃の生活にも馴染み深くなりつつある「SDGs」が5位にランクイン。国際連合広報センターが設立した「SDGsメディア・コンパクト」へ日本の主要報道機関が加盟したことで、2020年頃から新聞やテレビでの露出が増加。また、2020年からは学校教育でも採用され、SDGsを意識した商品・サービスの選択は、利用者にとって社会貢献に寄与できるという意識もあり、支持を集めやすくなっている。そのため、企業活動の取り組み紹介に留まらず、商品・サービス自体にSDGsの考えを盛り込んだものが生まれるようになり、企業発表でもその件数を伸ばした。また、業界カテゴリ別年間キーワードランキング見ても、「SDGs」は全27業界カテゴリの内19カテゴリで20位以内にランクインしており、 業界を問わず広く使用されるキーワードと言える。
注目のキーワード「NFT」「メタバース」
2021年、急速に登録が進んだ注目のキーワードについて、同社は「NFT」「メタバース」の2つを挙げた。
「NFT」はブロックチェーンを用いた新技術のこと。デジタル上の画像や映像が唯一無二の本物であることを証明できるようになり、その画像や映像などの価値を保証することができる。2021年3月に海外のオークションサイトで同技術を使ったデジタルアート作品が約75億円で落札されたというニュースをきっかけに、日本国内でもそのキーワードに注目が集まった。2月までは延べ11件だった2021年のキーワード登録件数も10月には延べ836件とその数を伸ばし、2020年と比較すると41倍超のプレスリリースが発信された。
インターネット上につくられた3次元の仮想空間を指す「メタバース」は、1月~7月までは延べ31件だったものの、10月には述べ114件とその数を増やした。これまでに企業の事業参入の発表や、従来のイベントを「メタバース」で実施する企業も増えており、2020年からは増加率57倍と、今後その活用の幅に合わせて注目テーマとなるだろう。