企業の言葉をダイレクトに伝えることが可能になった分、これまでの企業と顧客との関係性もグッと近いものになった。
では企業と顧客との接点において、いまSNSが提供できる体験価値とは何なのだろうか。
約10年にわたり、Twitterの“中の人”を担当する東急ハンズの本田浩一氏に話を聞いた。
※本記事では月刊『宣伝会議』1月号(12月1日発売)掲載記事の一部を掲載しております。
SNSは革命的なツール、黎明期を経験した東急ハンズ
SNSは今や、日常生活を送るうえで欠かせないコミュニケーションツール。個人だけではなく、企業・ブランドなど、法人がアカウントを開設し、運用するケースも当たり前になってきた。
SNSの特長は何と言っても、顧客とダイレクト、かつインタラクティブなコミュニケーションをとることができる点。企業が顧客とコミュニケーションをとる手段としてはとても便利だが、その上で運用担当者(中の人)が意識しておきたいのが、SNSで提供可能な「顧客体験」の価値だ。
「SNSは革命的なツールです。それまでは、企業と顧客が双方向的に、そして気軽にコミュニケーションをとる方法はありませんでした」。こう話すのは、東急ハンズの公式Twitterの“中の人”、本田浩一氏だ。
同社は、米国発のTwitterが日本版のサービスを開始した翌年の2009年にアカウントを開設。日本におけるTwitterの黎明期から存在感を示してきた“老舗”アカウントのひとつだ。
本田氏はアカウント開設当時から11年経った現在も“中の人”としてTwitterを運用している。
“商売の匂い”がするツイートは顧客体験の価値を低下させる
それから約10年が経過し、サービスを提供するプラットフォーム数も増加した今、SNSに対する生活者の意識が変化したことは明らかだ。
しかし、企業の公式Twitterが担う、“共感を醸成する”という役割は変わらないと本田氏は話す。
SNS登場前までのコーポレートコミュニケーションは、リリースの配信など一方通行のものが主流。発信すれば顧客から返信がくる、という双方向のコミュニケーションが実現したことで、企業は顧客と同じ目線で発言することがより求められるようになった。
「“中の人”として考えているのは、ユーザーとは常に、友達のような関係性でいたいということです」。
東急ハンズのTwitterアカウントの一番の特徴は、フォロワーと“フラットな立場”を築いていることだ。
「宣伝ばかりで、“商売の匂い”がしてしまうと、ユーザーは信用してくれないんですよ(笑)。でも普段の生活の中で友達に勧められたものは信頼できるし、その言葉にも共感しますよね。企業のTwitterも同じ。大事なのは公式アカウントを“友達”だとユーザーに認識してもらうことです。“中の人”は企業の社員である前にひとりの生活者ですから」。
その言葉通り、同社のツイートの内訳は、“企業・商品の宣伝が2割、ユーザーとの会話が8割”。会話の中では、同社の取り扱う商品についての情報にはあまり触れていない。
実は、Twitterが得意なのはマーケティングではない?
同社がTwitterでのコミュニケーションで提供しているのは、商品を“宣伝されている”という体験ではなく、“友達と気軽に話している”ような体験。その顧客体験の提供を経て、企業のブランディング、さらにはファンづくりにつなげている。
「実はTwitterが得意なのは、マーケティングではなくーー」。
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