※本記事では12月28日発売の月刊『宣伝会議』2月号掲載の特集の一部を掲載しております。
常務理事
日本アドバタイザーズ協会(JAA)
常務理事
デジタル広告品質認証機構(JICDAQ)
事務局長
小出 誠氏
登録事業者は100社超 認証有無を企業の選定基準に
デジタル広告の品質を第三者的に認証する機構であるJICDAQ。同機構では「アドフラウドを含む無効トラフィックの除外」と「広告掲載先品質に伴うブランドセーフティの確保」に関する業務プロセスの監査基準を制定し、基準に準拠して業務を適切に行う広告業の事業者を認証。理念に賛同する広告主企業も募り、広告品質の向上を目指す。
12月1日時点で登録事業者は106社、品質認証事業者は53社であり、登録アドバタイザーは96社となっている。
事業者が認証を得るには、「アドフラウドを含む無効トラフィック対策」と「ブランドセーフティ確保」の一方、または双方で認証を受けるか選び申請。登録料を支払いJICDAQに登録し、JICDAQが求める業務プロセスの基準を満たせば認証される。
■登録申請から認証・公開リスト掲載までの流れ(年一回の更新)
内閣官房デジタル市場競争本部が4月に公表した「デジタル広告市場の競争評価 最終報告」ではJICDAQの取り組みにも言及されており、このような行政の動きも追い風となっている。
JICDAQ事務局長を務める小出誠氏は「デジタル広告の課題を認識している企業は増えているが、依然十分な数とは言えない。広告主企業が課題を正しく認識し、JICDAQの認証獲得の有無が広告会社や媒体社などを選ぶ判断基準として浸透することが、日本のデジタル広告の品質向上につながる」と話す。そのためには東京に本社を構えるナショナルクライアントだけでなく、地域の広告主企業、広告会社、媒体社にも理解を広げていく必要があるという。
また広告主企業の問題意識を高めるには、宣伝部門以外に、リスクマネジメント部門や広報部門への働きかけも新たな切り口になると語る。
「ブランドセーフティへの対策を行うと、短期的には広告効果が落ちたようにも見えるため、宣伝部のいち担当者で判断を下すのは難しい。CMOやCDO、その上のトップから意識改革する必要があります。リスクマネジメントの担当部門は、トップとのかかわりも多いため、その点でも有効ではないかと考えます」。
JICDAQの目下の取り組みはBtoBの取引の領域にあたるが、広告における課題はフェイク広告なども含め多岐にわたる。
「ユーザーに魅力的なアドエクスペリエンスを実現するため、業界全体の課題に取り組んでいきたい」と展望を語った。
月刊『宣伝会議』2月号
2月号では、「デジタル広告の課題と対策」と題し特集を組んでいます。デジタル広告の世界はいまだ玉石混合。クリエイティブの質の問題にとどまらず、社会的倫理に反するような悪質な広告も散見されます。本特集では、2022年、さらに注目すべきデジタル広告の課題と解決の方向性について考えます。
▼特集1
人々の意識と行動の変化にどう対応する?
2022年の消費者インサイト予測
▼新年特別企画
顧客起点で新たな価値を創造する!
いま注目の42社 デジタルマーケターに聞く「2022年の戦略」
▼特集2
広告投資にも企業の社会的責任
デジタル広告の課題と対策
▼特集3
ブランドと生活者をつなげる!
雑誌メディアのコミュニティ力を生かす