「登場感」と「リアリティ」を重視
「オーレ~~オ~レ~~(ジャカジャカジャン!)マツベンサンバ~♪」と、「マツケン」ならぬ「マツベン」サンバを踊りながら坂を上ってくる松平健さん。その手には、松弁(松屋のお弁当)が。どうやら松弁をテイクアウトし、踊ってしまうほど嬉しい様子だ。坂を上るにつれて、松平さんの後ろには同じく松弁を手にした小学生やシニアカーに乗ったおばあちゃん、さらにバスツアーの御一行、ラグビー選手、ドローンにヘリコプターまで……が続いていたことが明らかに。人々が松弁をテイクアウトし、楽しみに帰る様子をにぎやかに描いた。
松屋がテレビCMを放映するのは、10年ぶり。今回の CM はオンライン弁当予約サービス「松弁ネット」を使用することで、待たずに「松弁」をテイクアウトできることを訴求するものだ。
演出は渋江修平さん。「企画の時点で、松弁をテイクアウトしてワクワクしながら帰る人々を描くこと、松平健さんを起用して“マツベンサンバ”をやることなど、基本の要素は決まっていました。演出の際に大切にしたのは、10 年ぶりのCMのため登場感を出すことと、できるだけリアリティをもって描くことです」と説明する。
“出オチ”感を無くして展開をつけるため、当初は平らだった道をじわじわと人の姿が見えてくる上り坂に。キャストの人数も、当初の予定より倍以上に増やした。働く人々が松弁を取り合う様子やラグビー選手が駆け抜ける様子など、キャストごとに動きをディレクションしている。
坂を上るシーンの途中、松平さんが店頭で松弁を受け取る様子がカットインするが、その様子はどこか恥ずかし気。「もし“マツケン”が店頭受け取りをするとしたら、ギラギラですし、ちょっと恥ずかしがられるんじゃないかなと思って(笑)。松平さんは快く演じ切ってくださいました」。 カメラワークもリアリティを重視。「真正面から撮ると押しつけがましくなり、面白みが減ると思いました。だから位置も正面からは少し外し、カメラも手振れ感を出して“目撃してしまった感”を意識しています」。
CMのラスト、曲は「マツベンサンバ」の「マツベン」の部分で終わるつくりに。全体的にインパクトの強いCMでも、視聴者にきちんと商品名が残るよう工夫を施した。
渋江修平(しぶえ・しゅうへい)
長崎県出身。インパクト&エンターテインメントを心がけ、CM、ドラマ、MVの演出を手がける映像ディレクター。近年の監督作に、満島ひかり主演「突撃!南島原情報局(神回)」など。ACC グランプリゴールド、ショートショートフィルムフェスティバル2021 BRANDED SHORTS 最高賞受賞、K-ADCアワード 2021 映像部門大賞。
スタッフリスト
- 企画制作
- 電通+スプーン
- CD
- 満吉昌弥
- 企画+C
- 茂庭竜太、辻健太郎
- AD
- 井本善之
- CPr
- 山口真由美
- Pr
- 古田哲也、小松圭介
- PM
- 宮下誠、佐藤秋香、山下真太郎
- 演出
- 渋江修平
- 撮影
- 新出一真
- 照明
- 前島祐樹
- 美術
- 松永桂子
- 編集
- 市原賢治(オフライン)、君塚紀貴(オンライン)
- 音楽
- 戸波和義
- ST
- BABYMIX
- HM
- 新宮利彦
- CAS
- 高久明子
- AE
- 北川誠、川嵜容弘、内野蓉子
- 出演
- 松平健