Japan Techには8社が出展
今年のJapan Techには、アミューズワンセルフ、異能ベーション、クリエイティブテクノロジーラボ、リオンヒアリングテクノロジーズ、野村貿易、大阪ヒートクール、奈良先端科学技術大学院大学、ViXionの8社が出展。これらの出展企業の方もコロナによって現地入りができなかった方もいらっしゃったようです。そうした状況でも現地入りしているJapan Techの運営側が、出展者様に代わって訪問客に対応したり、ブース内にPCを設置して日本にいながらでも現地の訪問客とZoomを通じて商談ができるようにサポートしたりされていたようです。時差はあったので日本時間の夜中の2時、3時まで眠れなかったというご担当者はいらっしゃったものの、音声のずれはなく、うまく進んだプレゼンが何度もあったようです。
またCESを運営するCTAがJapan Techのためにプレス向けセッションを用意してくれ、各出展者から報道関係者向けにプレゼンテーションも行われました。冒頭にはラスベガスの日本総領事であるキャサリン氏からの挨拶もありました。
Japan Tech は、CESが初めて公式に日本のパビリオンとして認めた出展団体です。Japan Techの魅力は、出展までの調整と、出展時の運営サポートです。CESは世界的に人気があり、かつ展示会のルールも日本と異なるため、昔から出展している家電メーカーや超大手企業を除き、日本企業にとって出展のハードルは高いものです。
その中でもスタートアップとの出会いを求めている世界のビジネス関係者や投資家と出会えるユーリカパークに出展するとなると、参加条件などもあり、さらにハードルは高くなります(大手企業が新規事業案件をユーリカパークで展示したいといった場合も含め)。そうした出展の問題をクリアできたとしても、出展して終わりではありません。展示を見せる、出展現場を回す運営面が出展者にとって次の問題となります。こうした出展障壁を下げてくれるのがJapan Techの存在です。
最後にお二人からCES出展に興味がある企業様に向けてメッセージをいただきました。
ビジネスが生まれるCESならではの魅力
「CESは国内外にある他の展示会とは、参加者の量と濃度が全く違います。今年はコロナの影響で参加人数(量)は減ってしまいましたが、濃度は変わっていません。CESでは、出展者と来場者の間に隔たりがなく、ビジネスチャンスが転がっている展示会です。気軽な雰囲気はありつつ、フランクに展示しているのに、ビジネスとしての濃度が高いのです。
その背景に出展者も来場者も無料では参加できないことがあると思います。一般的な展示会では来場者は無料で参加できるものですが、CESは来場者もお金を支払う必要があります。また出展者側もたとえばタレントや歌手を呼んで来場者を増やすようなことはしません。本当にビジネスをしたい人だけを集めるという姿勢が感じられます。だからといって決して堅苦しい雰囲気ではなくお祭り感があります。そうしたお祭り感があるからこそ、普段なら生まれないコミュニケーションが生まれるのだと思います。
過去のCESにユーレカパークの出展者様でヘッドホンのモックアップを展示された方がいました。1月のCESではモックアップだけを見せて、3月にはキックスターターに出すという話を訪問者にされていました。そして3月にクラウドファンディングを開始した瞬間、目標金額を達成されています。こういうビジネスチャンスがある場だと思います。
また、出展者様からよくお聞きするのは、『日本だったら会えない大企業の経営者にCESで会って話をすることができた』『日本では取材されたことがなかったのに、CESで日本のメディアに取材された』といった内容です。たとえ海外展開は今のところ考えていないという企業様であっても、日本のビジネスを拡大するために海外投資を獲得するという目的でCESに参加するという考えもあります。ここには投資家がたくさん来場するからです。こうしたことを踏まえて、CESに興味を持たれている企業様は、まずは一歩踏み出してみることをおすすめしたいと思います」
以上、CES2022の現地の様子でした。加藤さん、清水さん、ありがとうございました。
玉井博久
Glico Asia Pacific Regional Creative & Digital Senior Manager 兼 江崎グリコ アシスタントグローバルブランドマネージャー
広告会社側(リクルート、TUGBOAT)のクリエイティブと、広告主側(グリコ)のブランド構築の両方の経験を生かして、デジタルを活用した顧客体験(CX)を手掛けカンヌライオンズなど受賞多数。2012年より日本のポッキーの、2016年より全世界のポッキーの広告を統括。2017年からシンガポールに駐在し、P&G、ユニリーバ、ネスレ、ロレアル、ペプシコ出身の外国人マーケターたちと広告開発に取り組む。宣伝会議「オリエンテーション基礎講座」(2022年1月開校予定)講師。アドタイのコラムニストとして「世界で活躍する日本人マーケターの仕事」の連載を担当。著書に『宣伝担当者バイブル』(宣伝会議)、『「売り方」のオンラインシフト』(翔泳社)。