ディレクター主導のプロダクション
原宿にオフィスを構えるヴィレッジは2017年、映像制作会社出身の大知裕介さん、ネット広告会社出身の小嶋佳之さんが共同で創業したディレクター主導のプロダクションだ。メンバーは14人で、CMのほか不動産など特定の業界のジャンルに強みを持つチームも。プロジェクションマッピングや空間演出などにも仕事の幅を広げている。そのバックグラウンドはさまざまで、映画やMVなどを得意とするエンターテインメント業界の出身者も在籍している。
仕事は広告会社や制作会社経由が7割、企業との直取引は3割ほど。最近では大手プロダクションから声がかかることも増えており、基本的に「来た仕事は全部やる」というスタンスだ。「広告業界の外から参入した会社なので、自分たちで仕事を開拓していく必要がありました。だからこそクライアントやクリエイティブの意図を最大限に汲み取り、なおかつ視聴者に喜ばれるクオリティの映像を制作し続けることで、どの立場の人からも信頼される会社になることが重要だと考えています」(大知さん)。
従来の職域を超えてクライアントの課題に向き合う、という考え方もそのひとつ。「ディレクターだからディレクターの仕事だけ、プロデューサーがプロデューサーの仕事だけやります、と言っている時代ではない」と小嶋さん。特に最近は業界全体で中~小規模予算の映像案件の増加があり、臨機応変な対応に迫られている状況がある。
「クライアントの予算に応じて、ベテランのメンバーが監修する形で若手のディレクターを起用したり、ディレクターがプロデューサーやエディターも兼務したり。モーショングラフィックスも含めた編集まで手がけることができるスタッフも多いので、いくつかの役割を兼務してコンパクトに制作していくことも可能です」(小嶋さん)。
ヴィレッジの社名の由来は、その名のとおり「村」だ。「イメージとしては映像が好きな人が自然発生的に集まる自由な場所。ディレクターはフリーランスでもやっていける仕事ですが、何より僕自身が1人だと耐えられないタイプなので(笑)。会社に来れば、全く異なる発想のメンバーがいるから何でも気軽に相談できるし、企画の突破口も見つかる。そういう場所を目指しています」(大知さん)。
社内にルールはつくらない
引き合いも多いため直近では常時、職種を問わず映像制作の仕事に興味のあるスタッフを募集している状況だ。そんなヴィレッジで働く醍醐味のひとつが「仕事の裁量が大きい」ということ。「経験を問わず仕事を次々と任せていくスタンスなので、指示待ちではなく能動的に仕事を進めていける人が向いている」と大知さん。「加えて、とにかく映像が好きだという気持ちが強く、一本筋が通っている人と働いていきたいですね」(小嶋さん)とも。
代表取締役である2人のポリシーは「社内にルールをつくらない」ということ。勤務体系も場所も時間も権限も縛ることなく、複雑な申請ルールもない。ギターやキックボード、キャラクターグッズ、自転車などが無造作に並ぶ原宿のオフィス空間もヴィレッジの自由な雰囲気を表している。
「規模の大きい会社ではルールが多く窮屈な思いをしている、といったクリエイターの話も耳にします。そういう人たちがフリーランスに近い状態で、自由でありながら安定して活躍できる環境をつくっていければ」(大知さん)。とにかく映像におけるクリエイティビティを最大限発揮するというゴールが達成できれば、あとは自由でOK、という考えを貫いてきた。
このように社内の働く環境における自由度の高さがクライアントの“想像以上”のクオリティを生み出すことにつながり、最近では単発案件だけでなく年間のレギュラー案件の依頼なども増えてきた。「特にプロジェクションマッピングやLEDのモニターなど、16:9のサイズには限らない映像のニーズも増えています」と小嶋さん。大知さんも「中には全く水が合わない人もいますが、それでもいい。戦略的に人材を増やし規模を拡大していくというより、同じ志を持ち、ヴィレッジの考えに共感するメンバーが少しずつでも増えていったら嬉しいですね」と話している。
お問い合わせ
株式会社ヴィレッジ
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