そごう・西武は2022年度の企業広告として、キャッチフレーズ「なくてもいいと言われるものと、私の心は生きていく。」を発表した。1月1日に日本経済新聞、朝日新聞ほか6紙に全15段広告を出稿したほか、そごう・西武全10店舗でポスターを掲出。Webではメイキング動画を配信している。広告会社はフロンテッジ。
2017年に始めた「わたしは、私。」のシリーズの一環で、22年で6回目を数える。故・樹木希林さんが出演した「年齢を脱ぐ。冒険を着る。」に始まり、21年は「レシートは、希望のリストになった。」などがある。
「なくてもいいと言われるものと、私の心は生きていく。」というキャッチフレーズは、背景に「不要不急」がある。これまでは危険地帯への海外渡航を控えたり、再検討を促したりする際など、限られた状況で使われるものだったが、新型コロナウイルス感染症の拡大を防ごうと、使用される文脈が広がった。
そごう・西武の広告・宣伝担当者は、キャンペーンの中でも、このキャッチフレーズは「当社内や、クリエイティブチーム内でも、最も議論になった部分」と話す。
「『生きていくために必要なもの』と『何の役にも立たないもの』の差とは何なのか。『自分にとって必要なもの、そうでないもの』は人によって異なるはずです。百貨店は『誰かにとって不要なものでも、あなたにとって必要なもの』を取り揃えていることを伝えようと、こうしたコピーにしました」(営業企画部 広告・宣伝担当)
ボディコピー内の「通常営業できたのは数日でした」の一文も、2021年の特異さを際立たせる。休業要請が空けても、飲食店での時短営業など店舗ごとに状況が異なる上、どんな条件であれば〈完全〉と言えるかも議論の分かれるところだ。
「その上で足し上げても『数日』という表現にならざるを得ない一年だったのではないかと思います」(同)
一方、2021年は挑戦も進んだ一年でもある。たとえば9月にオープンした「CHOOSEBASE SHIBUYA」だ。そごう・西武によると開業以降、特に若年層から好評を得ているという。店頭で撮影した写真も、ソーシャルメディアなどへの投稿が相次いでいる。
「ふだん、これまでご来店の少なかった層のお客さまの姿が目立ちます」(同)
ほかにも、さかのぼること2月にはいわゆる「デパ地下グルメ」をネット販売する「e.デパチカ」や、法人向けサービスとして従業員の健康管理をサポートするスマートフォンアプリ「Cool & Beauty24」など、新たな施策にも取り組む。
正常化への兆しが見えたり見えなかったりする現在だが、「なくてもいいと言われるものと、私の心は生きていく。」は、そごう・西武の今年度の指針となると言えそうだ。
スタッフリスト
- 企画制作
- フロンテッジ、太陽企画 UNIT1
- ECD
- 島田浩太郎
- SCD+C
- 上島史朗
- C
- 山際良子
- C+企画
- 宗政朝子
- AD
- 加納彰、岡田邦栄
- D
- 遠藤芳紀
- CPrd
- 松井徹
- AE
- 河西きよら
- Prd
- 堤麻理子、植田千晶
- PM
- 濵田未来
- 演出
- 高橋一生
- 撮影
- 林大智
- 照明
- 原澤遥哉
- 編集
- 松岡勇磨(オフライン)、波多野純(オンライン)
- MA+SE
- 綾城重理人
- NA
- 島守杏典
- 作曲+音楽Prd
- 小野雄紀
- レコーディングエンジニア
- 佐久間勇児
- 演奏
- 石亀協子、藤堂昌彦、三品芽生、徳澤青弦
- 出演
- 梶原誠