パナソニックは1月19日、大家や物件管理会社向けに、賃貸住宅向けのサブスクリプション(月額支払い)サービスを始めると発表した。料金は貸主側が払う。立地や間取りなどの条件に合わせてパナソニックの家電を設置し、賃借人への訴求力を高める。リノベーションや入居者募集、物件メンテナンスにも対応する。
IHクッキングヒーターや電子レンジ、冷蔵庫などの家電を月額支払いで提供する。サービスには入居者からの問い合わせや修理、交換、退去後のクリーニングなども含まれる。他物件との差異化を図り、空室率の減少や家賃収入の向上につなげるという。
最新の家電に適したリノベーション(大規模改修)も請け負う。19日には第一号物件として、東京都北区の「noiful base 駒込」を公開した。建物管理は野村不動産パートナーズ。入居者管理は同社とリノシーアセットマネジメント(旧リーガル賃貸保証)が担う。入居者の募集および契約は、イタンジ(東京・港)の賃貸情報サイト内に特設ページを用意し、内見予約やスマートキーによるセルフ内見、入居申し込みなど、賃貸取引にまつわる手続きをオンライン化する。
消費者向けの新規購入や買い替えだけでなく、物件オーナーや管理会社にターゲットを拡大した格好。民営の賃貸物件は、直近2018年は08年から200万戸近く増え、1529万5000戸となった。持ち家の割合は6割で横ばいだが、公営や公社運営の賃貸物件や、いわゆる社宅などの給与住宅に住む人の割合が減っているため、居住世帯のある住宅に占める民営賃貸の割合は、微増傾向にある。
持ち家と民営賃貸の世帯別で耐久消費財の所有状況を見ると、テレビやエアコン、光ディスクプレーヤーやレコーダーといった機器に比べ、物件の条件による温水洗浄便座や化粧台、システムキッチンの所有率が低いのに加え、住宅の状況によっては置けない「食器洗い機」は賃貸で目立って低い。ほか、空気洗浄機や、乾燥機付き洗濯機も所有率が大きく下がっている。
上昇はゆるやかになってきているが、1世帯あたりの住宅数は1.16戸と、総住宅数のほうが世帯よりも多い状況は続く。持ち家ではなく賃貸という選択をする人も増えている中、パナソニックは自社製品を賃貸物件間の競争力向上につなげつつ、製品愛用者自体を増やしたい考え。