※本記事は『広報会議』2022年2月号の転載記事です。
医療従事者と並走しながら世界の医療をサポートしてきたテルモは、2021年9月に100周年を迎えた。
同社では2017年4月にコアプロジェクトを発足。100周年記念事業の目的を「次の100年に向けて成長していくための課題解決」と定めて専任者を選出し、1年以上かけて課題抽出を行った。その中で「テルモバリュー(企業理念/コアバリューズ)への共感・一体感醸成」と「社内外のプレゼンス向上」という2つの課題と、 解決のためのコンセプトワード「TSU NA GU」が決定した。
日本のプロジェクトマネジメントオフ ィス(PMO)のリーダーを務める上多弘志氏は、「当社は2000年以降、事業の拡大に伴い急激なグローバル化が進み、地域的な連携はもとより事業や部署における連携の希薄化が課題でした。そこで100周年を機に、国内外・社内外を問わず “TSU NA GU” ための企画を考えていきました」と背景を説明する。
3つのカテゴリーで企画を構成
企画の大きな柱は3つ。まずは2万6000人の社員から “すごい人” を見つける社内公募選出企画「TERUMOʼ S 100 Associates」や、国を跨いだチームでチャレンジ達成を目指す「TSU NA GU Ch allenge」、記念冊子「Living Our Core Va lues」の配布、そして「TERU」と「RUMO」というキャラクターが世界の事業所をまわりSNS上で社員をつなぐ「TERUʼ S Jo urney & RUMOʼ S Adventure」など、グローバルな社内での取り組み。
次に、テルモの歩みを体現する100周年スローガン&ロゴ、日本を代表する作曲家である千住明氏に制作を依頼した「Terumo Group Music」など、全世界に向けた対外発信。それらは3つ目の柱である9月17日の創立100周年記念式典に集約され、当日の様子は多言語でライブ配信された。
最大の特徴は、「TSU NA GU」のコンセプト通り一体感醸成を念頭に、「全世界で同じ取り組みをして周年を祝う」という、日本企業としては非常にまれなスタイルを実現したことにある。
それぞれの価値観やバックグラウンドなど、様々なギャップの壁を越える鍵は、真のダイバーシティの実践にあった。
「全世界の担当者が企画検討に参加し、お互いの価値観、状況を理解しながら進めることを意識しました。高頻度のオンライン会議を通じてコミュニケーションが図れたのはコロナ禍だからこそ。
地域や事業の壁を越えてつながり、次の100年にむけて大きな一歩が踏み出せたと感じています」と上多氏。
社員の声から継続発信が決定
世界中で働く社員のリアルストーリーを紡いだ記念冊子「Living Our Core Va lues」には、「なぜテルモで働くのかを考えるいい機会になった」など反響が大きく、「新しいエピソードを読みたい」という声が多いことから、海外事業所担当者との持ち回り制で新たなストーリーを配信していくことが決まった。
制作に携わった広報室の奥村曜絵氏は、「様々なバックグラウンドを持つ社員のエピソードを共有することで、テルモの一員としての共感を醸成できたのでは」と手応えを語った。
世界中の社員と共通の一体感を醸成するためのアクティビティと、世界に向けた発信によるブランド浸透。この2つは今後もテルモがグローバルカンパニーとして成長していくための重要な両輪になると広報室長の三好貴志氏は言う。「医療を通じて社会に貢献する」という企業理念のもと、これからも地域や事業の垣根を越えた挑戦は続く。
Pick UP!
テルモの理念を体現する社員の姿を集めた記念冊子
A5版の社員向け記念冊子「Living Our Core Values」は全100ページ。企業理念やコアバリューズを体現している世界各地の社員のエピソードに加え、コロナ禍で尽力した姿や決意の声などを紹介。紙、PDFなど3形態で、5カ国語に翻訳。
「わが社の周年事業・プロジェクトを広報会議で取り上げてほしい!」
という担当者の皆さま、ぜひ情報をお寄せください。
kouhou@sendenkaigi.co.jp