多様性がある6人の著名人を起用
講談社の新たなロゴを手がけたのは、Netflixのブランディングなどにも携わってきたアメリカのグレーテル社だ。講談社が今後の経営方針として発表しているように、グローバル展開や世界への発信力を高めることが目的だ。ロゴは社名のローマ字表記から「K」をとり、交差点を思わせるデザインに。創業以来掲げる企業理念「おもしろくて、ためになる」の「おもしろい」と「ためになる」が交差する、という意味を持つ。
【関連記事】
講談社、新ロゴを発表 ネトフリ担当企業が策定
この新たなロゴやパーパスを社内外により浸透させるための仕掛けが必要という課題に対して採用されたのが、TBWA\HAKUHODOのチームが提案した今回の企画だった。
クリエイティブディレクターの宇佐美雅俊氏、アートディレクターの伊藤裕平氏らからなるチームはこれまで『進撃の巨人』『東京卍リベンジャーズ』など、講談社の人気作品のキャンペーンにも携わってきたが、「出版社はコンテンツが前に出ることが多い。他の業種と比べると、企業の姿勢そのものを伝えるブランディングが難しいという課題がありました」と宇佐美氏。
そこで今回のキャンペーンでは、これまで講談社のコンテンツがどれだけ多くの人たちに影響を与えてきたかを可視化することを目指した。
2月からスタートの第一弾では、大谷翔平、大坂なおみ、北野武、藤田ニコル、コスプレイヤーのえなこ、YouTuberの虫眼鏡(東海オンエア)といった多様性があり、なおかつグローバルでの活躍も著しい面々が登場。講談社の社内にある部署横断の企業ブランディングに関するプロジェクトチームとともに、それぞれ交渉し実現した。
たとえば大谷選手なら野球漫画の『ダイヤのA』(著:寺嶋裕二)、北野さんはブルーバックスの『宇宙になぜ我々が存在するのか』(著:村山斉)、藤田さんはモデルとしても登場する女性誌『ViVi』など、思い入れのある講談社のコンテンツを挙げている。
「交差点」を共通のフレームに
グラフィックではロゴの「K」を通じて、これらのコンテンツとそれぞれの出演者が交差するという共通のビジュアルに。それぞれ「姉と少女漫画を読む時間が、唯一の癒しだった。」(大坂選手)、「辻村深月にのめり込んだから、コスプレイヤーになれた。」(えなこ)といったコピーを組み合わせているが、これは実際に各出演者のインタビューから出てきた言葉だ。
メインのコピーは「世界を書き換える。ありえない物語で。」。「これも講談社の新たなパーパス『Inspire Impossible Stories』を改めて解釈して、今回のキャンペーンに適した言葉を提案しました」(宇佐美氏)。
印象的であるのが、交差点を表す「K」はロゴをモチーフとしながらも、フレキシブルかつ大胆に配置していること。元のロゴにリスペクトを持った上で、自分たちなりの解釈を入れてデザインに落とし込むことが求められた。
「ロゴは自由度が高いフォーマットになっていて、使用できる色もプライマリーカラー、セカンダリーカラーと幅広い選択肢がありました。これにより多様性があり、6人の皆さんがフラットに見える表現になっています」(伊藤氏)。
このキャンペーンは6人では終わらず、今後も続いていく。講談社のプロジェクトメンバーからは開始当初から「50人を目指したい」という声も出ており、第二弾に向けて次なる出演者とコンテンツについて準備を進めている。
スタッフリストは以下のとおり。
スタッフリスト
共通
- 企画制作
- TBWA\HAKUHODO+博報堂
- CD
- 宇佐美雅俊
- AD
- 伊藤裕平、神之田裕貴
- C
- 山口千乃
- STPL
- 中強修
- AE
- 近藤陽子、山内亜香音、安福隼也
グラフィック
- 制作
- 東京アドデザイナース+博報堂プロダクツ
- AD
- 中村弘志
- D
- 牧山雅晴、髙田有美子、中西貴子
- レタッチ
- 小柴託夢
- Pr
- 浦野貴文、水野扶美、前川早苗
- 掲載
- 朝日(2/1)
- 掲出
- 渋谷憲章シート(2/1~2/14)、渋谷ハチ公センターシート(同)、SIP OSAKA(同)、阪急梅田クランクWALL(2/7~2/13)、東京メトロ有楽町線護国寺(2/1~2/13)
Webサイト
- 制作
- 博報堂アイ・スタジオ
- Pr
- 原一弘
- PM
- 尾崎風椰
- Webディレクター
- 加藤聡
- AD
- 佐川貴保
- D
- 田口貴大
- TD
- 横山幸正、小井仁
- FE
- 佐川貴保
Web動画
- 制作
- EDP graphic works
- D(モーショングラフィック)
- 有馬新之介
- SE
- 水田拓実