博報堂DYホールディングス(HD)は2月9日、デジタルホールディングス傘下でネットマーケティング支援事業を手がけるソウルドアウトを買収すると発表した。親会社のデジタルHDは、所有するソウルドアウトの株式591万4080株すべてを博報堂DYHDに売却する。譲渡価額は106億9800万円。
博報堂DYHDはソウルドアウトを完全子会社化する考えで、そのほかの株式について公開買付を開始する。Zホールディングスが3.3%を所有している。
ソウルドアウトの主要顧客は中小企業で、博報堂DYHDは中小や地方の企業向けの体制を強化する。同社はインターネットを重点領域に据えており、売上高伸長率で年率15%増以上を目指す。地方企業の広告費に占めるネット広告の割合は、東京圏の企業の割合の半分以下で、伸びしろが多く残されているとし、ベンチャー企業やロングテール市場の取り込みも含めて拡大を図る。
博報堂DYHDはグループ内でもデジタル強化を進める。9日の2022年3月期第3四半期決算では、グループを横断するテクノロジーの新会社を設立すると明らかにした。グループ内の人材を集約するほか、100人規模でエンジニアなどを増員する。システム開発には100億円を投資するとした。
社内システムのほか、デジタルトランスフォーメーション(DX)を巡って顧客企業に提供するサービスの開発、運用型への転換で広告効果の最大化を掲げる「AaaS(サービスとしての広告)」周辺の基盤強化を進める。
博報堂DYHDの2021年4〜12月の連結売上高は前年同期比17.7%増の1兆393億2000万円だった。19年の売上高は1兆682万1400万円で、コロナ禍前の水準が見えてきた。通期予想は上方修正し、1兆5660億円の20年比20.7%増、19年比で6.8%増とした。
種目別売上高では構成比32.0%を占めるテレビが前年同期比8.0%増の2901億2700万円。次いで構成比23.9%のインターネットメディアが同比26.1%増の2169億7000万円となった。官公庁のBPO業務や五輪関連業務を含むマーケティング/プロモーションは同比34.6%増の2016億7600万円だった。
特別退職金は、博報堂、博報堂DYメディアパートナーズ、読売広告社で募集した早期退職制度の特別一時金39億円を含む、42億3100万円だった。