国内電通グループの力を生かしバイイングでも強みを発揮
プランニング、クリエイティブ制作、効果測定の仕組みが内包され、マーケティングに貢献するテレビCMの活用をワンストップで支援する「TELECY(テレシー)」。
運用型テレビCM市場において、「テレシー」ならではの特性のひとつが「最低100万円からの出稿が可能」な点。事業成長のためにテレビCMを活用してみたいと考えている企業が、より気軽にチャレンジできるよう「ハードルを下げること」に重きを置いた。
また、レポーティングツール「テレシーアナリティクス」により、ネット広告と同じCPM・CPA・CPIといった指標で効果を可視化。CM出稿後に、時間帯やエリア、放送局などの軸で振り返り、ネット広告では当たり前だった「効果の出た枠に寄せる」形で、PDCAサイクルを回すことができる。
同社では、高度な分析が可能なデータサイエンティストを社内に多数擁し、広告主の商材特性・ステージに応じた緻密なマーケティング戦略の設計、シミュレーションが可能。また元々電通との共同事業であったという関係性から、広告枠のバイイングにも強みを持ち、初めてのテレビCMであっても、プランニングから制作、効果測定までをチームでサポートしてくれる体制が、高い継続率につながっているという。
「テレシー」は、運用型テレビCMのサービスとしては後発にあたる。しかしこの1年、CMの他、タクシーやエレベーター広告、アドトラックなど、多様な広告手段を使ったプロモーションで一気に躍進した。
「この1年は自社でも広告主として1.5億くらいの投資をして、媒体ごとの“料理の仕方”を見極めてきました。自分たちでもやってきたその実績を踏まえて提案できることが、強みだと考えます」(土井氏)。
同社では2021年1月、デジタルインファクトと共同で国内の運用型テレビCMの市場調査を実施。運用型テレビCMを提供するサービスが多数リリースされた2020年から始まり、2025年には市場規模が920億円に達すると推計した。しかし土井氏によると、すでに予測を上回る状態で伸長。数年後には、テレビCMの15%程度が運用型になるのではないかと見込んでいる。
Cookie利用規制が新たな広告主をテレビに呼び込む
拡大する運用型テレビCM市場は、以前からテレビを使っていた広告主だけでなく、新しい広告主を市場に呼び込む吸引力ともなりうる。実際「テレシー」を導入する企業には、VOYAGE GROUPとして付き合いのあったデジタルマーケティングに主軸を置いた活動をしてきた広告主も多いという。土井氏は「クッキー利用規制の問題があり、これまでネット広告に多く出稿してきた企業が新たな手段を模索するようになってきている。その課題を解決する手段のひとつとしてテレビCMに着目する企業が増えている」と背景を話す。
「ネット広告に多額の投資をしてきたけれどテレビは試したことがないという企業はまだまだ多い。多様な業種・商材での導入実績が出てきているので、それらの知見を蓄積し、より多くの企業にテレビの効果的な活用を提案していきたい」(土井氏)。
土井氏は、これまでにCARTA HOLDINGSのグループ会社で、広告配信プラットフォーム事業を展開するfluctにも在籍。同社の執行役員としても活躍してきた。デジタル広告を使って企業の成長を支援してきたからこそ、昨今のクッキー規制の流れや、デジタル広告を駆使し、一定程度成長した企業が、次の展開として新たな広告手段を求めるようになっていることを実感。デジタル広告と同じ指標で効果を可視化できる「テレシー」の市場性を確信しているという。
また、こうした広告主からの要望に応える形で、今後、デジタル広告との連動も検討している。
「広告の全体予算を預かるなかで、やはり産業や事業フェーズ、目標に応じてデジタル広告との連動や配分の最適化は必要になってくると感じています。現在は外部パートナーと組みながら進めていますが、今後はデジタル広告の運用も含めまるっと受け入れられるような体制づくりを行っていく方針です」(土井氏)。
マーケティングと経営をつなぎ 伴走しながら事業課題解決に貢献
会社設立以来、自身もテレビを始めとしたマーケティング手段を活用し、事業を成長させてきた土井氏だが、今後はさらに「自分たちの“広告主”としての知見を企業向けのサービスに生かしていけるのではないか」と考えている。すでに同社では、テレビCMだけでなく、タクシーやエレベーター広告など、自社で料理の仕方を見極めた媒体の提案も増加。アナログ含めた新たな媒体の開拓や、企業特性に合った活用法の開発が進む。そして最終的には「企業の事業成長に必要なサポートができる“トータルマーケティングカンパニー”を目指していきたい」と語る。自身が企業経営に携わってきた経験を生かし、マーケティングと経営をつなぎ、事業課題解決のために伴走していくような仕組みづくりをしていく考えだ。
「この1年半いろいろなスタートアップ企業の社長と話している中で、広告ではない、投資や開発、組織づくりなどの部分での課題解決も必要なのではないかと感じる場面も多々ありました。その部分はいまコンサルティング会社などがされている領域だと思うのですが、スタートアップならではの、違うアプローチもあるのではと考えています」(土井氏)。
そんな事業の拡大に伴い同社は、クリエイターやプランナー、エンジニア、データアナリストなど、広告業界はもちろん他業種含めた様々なバックグラウンドをもった精鋭人材が活躍中。新たな仲間も募集している。
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