年末の深夜にもかかわらず、約20万人がスマホを通じて参加
2021年12月29日と30日、フジテレビはバラエティ特別番組『貴方のスマホで決める夜』を放送した。同番組は、出演者が挑むさまざまなチャレンジを、視聴者がリアルタイムにスマホを使って決めていく番組。第一夜はグローバルボーイズグループ・JO1のメンバー4名が出演し、ダンスや歌のチャレンジ企画に挑戦。第二夜はモデルのトリンドル玲奈・瑠奈、そしてロバート秋山演じる三女裸奈がトリンドル三姉妹として出演し、ミッションに挑戦しながら、コント形式のストーリーが展開されていった。年末の深夜帯にもかかわらず、「#貴方のスマホで決める夜」(1位)「#あなスマ」(5位)と関連キーワードがTwitterのトレンド入りを果たした。
さらに今回は楽天カードが協賛し、番組間の生インフォマーシャルを 出稿。ここにも、視聴者参加型の仕組みが導入された。まず30秒CMで、スタジオの袖にいるモノマネ芸人のMr.シャチホコにカメラが突撃。「どっちのMr.シャチホコのCMが見たい?」と視聴者投票が行われ、番組本編あけの60秒CMで投票結果を受け、楽天カードの新デザインに関する宣伝原稿を、視聴者投票で選ばれた「大御所司会者ものまね3連発」で読み上げた。
このインタラクティブな生放送を支えたのが、フジテレビジョンが提供するコミュニケーションシステム「CxM(シーバイエム)」だ。2019年のリリースから15事例、総参加者数1000万人超と、テレビだからこそのリーチ力で実現する参加者の規模の多さが評価を受けてきた。
この年末特番でも大きな成果が出ており、第一夜の総参加者数(UU)は約13万人。これは番組全体の視聴数の約10%にあたる。さらに番組中の総タップ数は約5億回と、フジテレビの過去の類似施策と比較しても最大規模となった。
「今回のように視聴者投票やタップによる“応援”で活用する場合、アーティストやアイドル、スポーツ番組等、特定のファン層が存在するコンテンツとの相性は非常に良く、その参加感や熱気がライト層に伝搬するような仕組みにしたい」と冨士川氏。さらに、そのような視聴者参加型番組の番組内CMも今回のようにインタラクティブにすることで、離脱防止はもちろん、CM自体を視聴者が楽しむ形が理想的だと語る。
番組に紐づいた活用で、テレビとつながる視聴習慣をつくる
「今回の生CMは、1本目の投票で内容が変わるという仕組みにより、番組本編あけの、メインメッセージを伝える2本目のCM放映まで興味を惹きつけるという効果がありました。こうした仕掛けは、番組やCMの放映を単なる認知だけで終わらせない効果がだせると思っています。その効果を最大化するためにも、スポットでの活用だけでなく、番組コンテンツと紐づけ視聴習慣をつくっていく形…例えば『めざましテレビ』の“めざましじゃんけん”のように、決まった曜日・時間帯にスマホをもって参加しようという形にできたら、コミュニケーションツールとしての価値はさらに高まると考えています」と冨士川氏。
現状の課題である費用や工数のコスト面に関しても、レギュラー番組などでフォーマット化することで低減化し、番組にとってもスポンサーにとっても使いやすく、かつ視聴者の視聴習慣に入り込めるような形にしていきたいと冨士川氏は話す。
既存のデジタルコンテンツを活用し成果に直結する広告体験へ
シーバイエムの活用でより効果が高くなるのは、デジタルのプラットフォームで商流が完結 する企業だ。例えば、昨年の東京オリンピック期間中に日本コカ・コーラ社と行った『みんなで一緒に!#コークで乾杯』キャンペーンで配布したのはCoke ONアプリのドリンクチケット。 Coke ONドリンクチケットを使うためにはCoke ONアプリが必要なため、アプリを持たないドリンクチケットの当選者には、自ずとアプリダウンロード促進となる。結果、 CM放映後のタイミングでは、見事にアプリのダウンロードランキングで1位を獲得したという。
一方、デジタルで完結しないスポンサーにおいては、体験型という新しい認知体験で効果を発揮している。日産自動車の運転支援システム「プロパイロット2.0」の擬似試乗体験を目的とした連携では、走行中のスカイラインの車内から「プロパイロット2.0」を訴求するCMとその車内の360°VRがスマホでリアルタイムに体験できるという施策で、全国エリア3回のCM放映で、約35万人がVR試乗体験をするという成果に繋がった。店頭で対応できる人数がコロナ禍で制限されているなかで圧倒的なリーチを実現し、コア層だけではないライト層にも、広くアプローチすることができたという。
一般的に、テレビで見た情報が気になっても、あとで調べようとして忘れてしまう視聴者は少なくないだろう。興味を持ってもらったその瞬間を逃さず詳細情報に誘導できれば、テレビ広告の価値が高まるのは確か。そういう意味でもテレビとスマホのリアルタイム連動は大きな可能性を持っている。
今後もCxMをはじめ、様々な形でテレビのリーチ力をコンバージョンさせる活用方法を開発していきたいと冨士川氏は話した。
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