電通グループの2021年12月期の連結収益は前期比15.6%増の1兆855億9200万円となった。営業利益は2418億4100万円、純利益は1148億5300万円で、いずれも前期の赤字から黒字へ転換した。電通本社ビルなど不動産の売却益は1189億6000万円だった。
国内事業の主軸を担う電通の売上総利益は前期比18.3%増の2214億2200万円となった。19年の電通単体の売上総利益は2155億6800万円だった。
国内事業全体の売上総利益は前期比19.2%増の4159億1500万円で、買収などに関する損益などを除いた調整後営業利益は、同比52.0%増の953億6100万円。売上総利益に占めるデジタル領域の構成比は前期から0.9ポイント増の35.7%となった。広告事業も19年比で3.9%増と回復した。
近年注力する「カスタマートランスフォーメーション&テクノロジー(CT&T)」構成比は24.4%となった。電通グループは、CT&Tの構成比を50%まで高めることを目指している。CT&Tはマーケティング・テクノロジー、カスタマーエクスペリエンスマネジメント、システム・インテグレーション、企業の変革・成長戦略の策定などで、いわゆるコンサルティング会社が主戦場とする領域。グループ内ではマークルのほか、電通国際情報サービス、電通デジタルが担う。
2021年〜24年の中期経営計画には、1月に就任した五十嵐博・社長執行役員CEOの掲げる「Business to Business to Society」を盛り込んだほか、オーガニック成長率を21年度〜24年度の年平均成長率で4〜5%に上方修正した。CT&T領域の強化などに向け、企業買収の原資も2500億円〜3000億円用意する。また4月から社会貢献を通じた事業成長を図る「dentsu good サステナビリティ・アクセラレーター」を開始することも明らかにした。