公正取引委員会は2月16日、独占禁止法上の「優越的地位の濫(らん)用」を巡る執行を強化するため、「優越的地位濫用未然防止対策調査室」を新たに設けた。大企業と新興企業(スタートアップ)との取引に関する調査や、優越的地位の濫用に関する緊急調査など、未然防止のための取り組みを強化する。
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下請事業者に業務委託する事業者(=親事業者)と、委託先の下請け事業者との取引については、下請代金法の規制対象となるかどうかに資本金の要件が定められているが、同法の対象とならない取引についても、労務費や原材料費、エネルギーコストの上昇を取引価格に反映しない取引は、独禁法上の優越的地位の濫用に当たる可能性がある。
優越的地位の濫用は、取引上優位な立場にあることを利用し、受託者に不当に不利益を被らせる行為で、直近では福井県のドラッグストアチェーン「ゲンキー」や、アマゾンジャパンに被疑行為があった。
ゲンキーは費用負担なく納入業者の従業員を派遣させていたり、キャンペーン協賛金の負担をさせたりなどしていた。アマゾンジャパンは値引き額の一部を取引先に補填させたり、キャンペーン目的で金銭を提供させたりしていた。
いずれも改善策を講じたほか、金銭的回復を行った。アマゾンジャパンが返還した額は約20億円に上った。
Webサイトでは下請事業者に業務委託する事業者(=親事業者)が、下請けに不当に値引きをさせて買う、いわゆる「買い叩き」などの違反行為の疑いがあるなどの情報提供を広く募っている。