花王、デジタルPF事業へ参入 健康推定モデルをAPIで提供

花王は、人体の健康状態などを精密に推計するデジタルプラットフォーム事業に乗り出す。2月28日、2023年をめどにAPIを通じ、ほかの事業者や研究機関への提供を始める。健康診断結果などを入力すると内臓脂肪量が推定できたり、体重の増減から健康状態がどのように変わるかなどを予測するといった活用を想定する。

人工知能(AI)技術開発のプリファード・ネットワークス(PFN)と協業して開発を進める。プロトタイプ(試作品)は完成しており、外部事業者複数との連携を通じ、実用化に向けた検証を開始する。

28日に発表された事業者はNTTドコモ。同社のスマートフォン向け健康管理・増進アプリ「dヘルスケア」で記録したデータの一部を、モデルに入力し、推定したデータを元に「dヘルスケア」で個々人に合わせた健康行動のアドバイスを提供したり、花王のライフケア関連商品・サービスを提案したりすることで合意した。入出力データは花王やPFNでは収集、蓄積しないという。

23年度までの中期経営計画に掲げた新規事業「デジタル・プレシジョンヘルスケア」の一環で、エグゼクティブフェロー(特命技術長)の丸山宏氏が主導する。丸山氏は元IBM基礎研究所所長で、元数理研究所教授。PFNのフェローも務める。

食事や運動、睡眠といったライフスタイルや、性格の傾向、嗜好性、ストレス状態、月経など、1600以上の項目のつながりから、一つの項目を入力すると、別の項目の推定データを出力する統計モデルを構築した。APIを通じてアプリケーション開発事業者に機能を提供し、消費者がデータを入力すると、必要な推定データが得られたり、適切な商品やサービスなどを知れるようにする。

花王は皮膚RNA診断や画像皮膚診断、歩行健康診断の技術開発も進めている。化粧品や入浴剤、健康食品、洗剤などの既存の商品ブランドの再活性化にもつなげる考え。


 

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