資生堂は3月4日、バーチャルメイクアプリ「YouCamメイク」などを手がけるパーフェクト(本社=台湾)に少額出資すると発表した。パーフェクトがプロビデント・アクイジション(香港)との合併を通じて米ナスダックに上場するのに合わせ、株式を取得する。
パーフェクトは、スマートフォンなどのカメラを通じて映した自分の顔に、実際にメイクしたかのようなシミュレーションができるアプリ「YouCamメイク」をはじめ、化粧品やファッションブランド、小売店向けに拡張現実(AR)技術サービスを提供する企業。日本でも2018年にコーセー「コスメデコルテ」やハーバー研究所、フルーツギャザリング、阪急百貨店、三越伊勢丹などが採用した。
資生堂は数年にわたってパーフェクトの技術を主要ブランドに採用していた。直近では2021年4月、eコマースサイト「ワタシプラス」にパーフェクトのブラウザ向けバーチャルメイク機能を搭載したほか、美容部員(ビューティコンサルタント)が持つ業務用タブレット端末にも同様の機能を導入。新型コロナウイルス感染症の拡大で化粧品テスターの利用が難しい店頭や、オンラインでの購入前の確認に活用した。12月にはアイシャドウを試せるようにするなどの拡充も進めていた。
プロビデント・アクイジションはいわゆる特別買収目的会社(SPAC)で、インドネシアの投資会社プロビデント・グループ傘下。パーフェクトは、先に上場しているプロビデント・アクイジションに買収、合併されることで上場を果たす「De-SPAC」と呼ばれる手法で株式公開(IPO)する。通常のIPOよりも手続きが簡易という。
パーフェクトの私募増資には、資生堂のほかシャネルや、台湾のIT企業サイバーリンクも応じる。ほかに動画アプリ「SnapChat(スナップチャット)」開発・運営の米スナップや、中国IT最大手のアリババ・グループ・ホールディングも出資する。