広告主と放送局双方と関わるなかで見えてきた課題と展望について、話を聞いた。
CCCマーケティング
テレビマーケティングUnit Unit長
長島幸司氏
2018年入社。現在大手広告主・テレビ局を中心としたテレビデータ×購買分析による企画・コンサルティングや、シングルソースデータを活用した統合マーケティングのコンサルティングにも従事する。
大量のデータを可視化し「生活者」のリアリティを高める
CCCマーケティングが保有する、 T会員の属性や購買・テレビ視聴データ等を基にした大量のシングルソースデータ。それらをまとめあげて絵を描き、マーケティングのリアリティを高めていくことが、同社の目指すところだと長島氏は話す。
データ分析ソリューションBIツール「Market Watch(MKW)」では、「MKW Target Profiler」「MKW Target Heatmap」「MKW CM接触購買分析」を、テレビ関連サービスとして提供している。
まず『Target Profiler』でターゲットの特徴を明確にし、『Target Heatmap』でターゲットが“よく見るCM枠”を可視化、『CM接触購買分析』で効果測定、という流れだ。
例えば『Target Profiler』を活用すると、「Z世代の実態を解像度高く知りたい」といった要望に応える分析も可能だ。「分析すると、地域によって、同じZ世代でも趣味趣向や志向性や行動が大きく異なる様子が見えてきます。若者の車離れと言われますが、当然ながら東京以外の地域では、Z世代も車に対する関心は高い。イメージではない、真のリアルなターゲットの姿が見えてくるのです」と長島氏は話す。
さらに、BtoBtoCモデルの企業の場合、実際の購買者と広告で対象とするターゲットに乖離が生まれているケースもあるという。「極端な話、女性30~40代をメインターゲットにしていたのに、主な購買層が実は男性だった…ということもあるんです」と長島氏。こうした事実を知ることが結果的に、効果的な広告メディアプランニングにつながるのだ。
『Target Heatmap』では、2022年1月から書籍や雑誌等の購買履歴に基づく『興味関心層』のセグメンテーションも可能に。デジタル広告のようなインタレストベースのCMプランニングが可能になった。ターゲットを深掘りし、従来のF1・M1といった性年代属性だけではない新たな切り口はないか。解像度の高いカテゴリーやブランドの購買者データを探ることは、他社とは異なる競争力のポイントや企画の切り口を見出すことにもつながるだろう。長島氏自身分析を繰り返していくうちに、広告主の業種、あるいはテレビ局ごとのストロングポイントも見えてきたという。広告会社も含む、三社連動で運用していく事例も出てきた。
「こんな人がこのサービスや商品を求めているのではないか」を具体的に一緒に考えながら、企業のリアルなデータ活用と企画をサポートしていきたいと、今後の展望を語った。