電通は3月7日、女性が抱える課題を視覚化した「ジェンダー課題チャート」を発表した。多様性・公平性・包摂性領域の調査分析やソリューション開発を担う社内組織「電通ダイバーシティ・ラボ」が開発した。
「ジェンダー課題チャート」は、電通ダイバーシティ・ラボが調査やブランド・コミュニケーション、女性にかかわる課題に向き合う企業の戦略策定支援などの活動を通じて得た情報などを整理したもの。チャートには女性にまつわる12テーマ・95の課題が並ぶ。
電通ダイバーシティ・ラボは今後、講演などの発信を強め、企業コンサルティングや商品・サービス開発などに生かす考え。
日本のジェンダー課題については世界経済フォーラムが発表する「グローバル・ジェンダー格差指数」のほか、国連開発計画(UNDP)の「ジェンダー不平等指数」がある。
「グローバル・ジェンダー格差指数」は「教育的達成」「健康と生存」「経済参画と機会」「政治権限の付与」の4つの項目で男女格差を表したもの。対象153カ国の状況が総覧できる一方、国家間の開発レベルを考慮に入れず、実数ではなく「差」に重点を置いている特徴がある。
たとえば、2020年発表のグローバル・ジェンダー格差指数の「健康と生存」項目、「健康寿命」で日本のスコアは1.04で72位で、1位はバハマの1.07。日本は女性75.5歳/男性72.6歳で約1.04、バハマは女性66.5歳/男性62.3歳で1.07となっている。就学率でも男女比を取っており、進学率の高低が考慮に入っていないなど、各項目で読み解きが必要だ。同項目でもバハマが1位だが、女性の中等教育(日本で高校に相当)への進学率は女性で65%と高いとは言えないが、男性が6割を切るためにスコアが高くなっている。
ジェンダー不平等指数は、リプロダクティブ・ヘルス(性と生殖に関する健康)、エンパワーメント(権限移譲)、労働市場への参加の3つの側面で、女性と男性の間に不平等がどれだけあり、それが原因で人間開発の潜在的達成度がどれだけ損なわれているかを示すもの。
両指数で共通して低いのは、政治や労働力市場への女性の参加割合。これも、どの領域でどのように活躍するか、について性差・偏見をなくしつつ、その希望がどれだけ叶えられているかといったデータも踏まえるなど、紋切り型に課題をとらえないことが解決の糸口となりそうだ。