広告世界最大手WPPグループは、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻を受け、同国での事業を中止すると発表した。「WPPがロシアに存在し続けることは企業としての価値観と矛盾する」として取締役会で決議した。
ロシアのWPPグループ従業員は約1400人。また、ウクライナにも約200人の従業員を擁する。
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)を通じて、ウクライナからの避難民への募金活動も開始した。従業員からの寄付金には、グループからさらに同額を上乗せするという。
各国に拠点を持つ大手広告主からも、3月第1〜2週にかけ、ロシア事業を中止するといった発表が相次いでいる。米マクドナルドは3月8日、ロシアの全店舗を一時的に閉鎖すると発表した。慈善団体のドナルド・マクドナルド・ハウスはロシア、ウクライナ両国での事業を継続する。ロシアの全マクドナルド従業員への給与支払いも続ける。
P&Gは7日、ロシアでのメディアや広告宣伝活動を停止し、新規の設備投資も中止し、事業規模を縮小すると発表した。販売する製品ラインナップも大幅に縮小するという。ロシア家庭での日常生活に必要な健康・衛生・パーソナルケア用品に絞る。
米イェール大学経営大学院のジェフリー・ソネンフェルド教授がまとめているリストによると、3月8日時点でロシアでの事業を停止した企業は290社に上る。トヨタや日産、任天堂、パナソニック、ソニーといった、日本の大手広告主企業もリストされている。