花王は3月11日、ロシアによるウクライナ侵攻を巡り、現地への輸出出荷と広告活動を停止すると発表した。女性や乳幼児向けの衛生製品のみ出荷を継続する。
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によると12日時点でウクライナから国外に避難した人の数は269万人に上る。事態がいつ収束するかは不透明なままだが、花王は情勢に応じて随時対応するとした。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)を通じて50万ユーロ(約6425万円)の寄付も実施した。
日本たばこ産業も10日、たばこ事業を担うJT Internationalが、ロシアでの新規投資とマーケティング活動の一時的な停止を発表した。加熱式たばこの新製品の発売も延期する。事業環境が大幅に改善しないかぎり、ロシア市場での製造も一時的に停止するおそれがあるとした。従業員4000人の雇用は継続する。
米イェール大学経営大学院のジェフリー・ソネンフェルド教授がまとめているリストによると、3月13日時点でロシアでの事業を停止した企業は350社となった。8日から60社増えた。
広告会社では、WPPがロシア事業を取りやめたが、そのほかの世界大手広告会社である米オムニコムや仏ピュブリシス、米インターパブリックグループ、電通は去就を明確にしていない。
ロシアに2000人、ウクライナに200人の従業員を擁するオムニコムは、9日時点では「彼ら、彼女らの安全確保が最優先事項となっている。ロシア事業については現地でビジネスを行うグローバルクライアントと協議中」とした一方、「状況を注視し、米・英・欧の制裁に準拠しながら運営は続ける」と表明している。傘下のBBDOがロシアの商業銀行「ロスバンク」、DDBがロシア農業銀行をクライアントに持つ。
仏ピュブリシスはロシアやウクライナにも拠点を持つが、方針については開示していない。傘下のレオ・バーネットは、大手通信事業者のロステルコムを顧客に持つ。
インターパブリックは10日時点で寄付など人道支援を表明した一方、事業については非公表。ロシアには複数の拠点を持つ。
電通グループはロシアに合弁会社があるが、13日までに事業運営についての回答はなかった。
アクセンチュア インタラクティブやデロイトデジタルは、それぞれの所属企業が完全撤退を表明している。
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