英国政府観光局は3月12日、日本でも英国への観光客誘致のためのキャンペーンを開始した。2月中旬に始めたグローバルでの訪英促進施策の一環。米国のほか、仏・独など比較的距離の近い欧州各国を中心に、世界でアピールを強めている。総額で1000万ポンド(約15億円)を投資する。
同局によると2020年〜21年、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で減少した英国外の観光客による消費損失は480億ポンド(約7兆4000億円)に上る。2020年の訪英外客数は19年比73%減の1100万人で、消費額は同比78%減の62億ポンドとなった。21年はさらに減少し、訪英は740万人、消費額は55億ポンドだった。
観光は英国経済でも重要な収益源で、輸出分野では3位につける。2022年は、エリザベス女王が即位70周年を迎えた年として記念式典が催されるほか、4年に一度開催するイギリス連邦競技大会(コモンウェルスゲームズ)がある。英国観光局の消費者調査では、2022年〜23年初めにかけ、海外旅行需要は高まっている。日本国内でも38%が1年以内に海外旅行の意向があると回答した。
2月24日には英国内の新型コロナウイルス対策のための規制を撤廃した。海外客の水際対策も、3月18日の早朝4時で全面解除する。連絡先や旅程、滞在先などの情報を収集するPLF(渡航者位置特定フォーム)の記入や検査義務を敷かなくなる。
冷や水を浴びせかねないのは感染状況だ。オックスフォード大学運営の「Our World in Data」によると、英国での確認された100万人あたり陽性者数は2月末から一転増加傾向。2月27日時点(2月24日〜3月2日の平均値)の398.51から、3月11日時点(=3月8日〜13日の平均値)は868.11と急伸している。