コロナ禍で好調の要因を調査
―今回、「Go Insight」を導入したきっかけを教えてください。
守政:1973年に発売し、2023年に50周年を迎えるあずきバーは、井村屋の中で最も売上の大きなブランドです。2020年度はコロナ禍でマルチアイス全体の売上が前年比12%増と好調な中、BOXあずきバーはそれを上回る前年比16%増と過去最高の売上を更新しました。
その主因はコロナ禍の巣ごもり需要があると考えていましたが、あずきバーが他商品と比べてさらに売上を伸ばしている理由が分かりませんでした。POS分析やアンケート調査などで探るも原因が判然とせず、現在の好調を維持・拡大するための施策立案ができない状況にありました。
そんな中、コニカミノルタマーケティングサービスからのメールマガジンでヤクルトとのウェビナーの案内があり聴講したところ、『Go Insight』の存在を知りました。今、私たちが社内で扱っているデータは、結果数値であるPOSデータやアンケート回答による消費者意識で、「あずきバーを購入する人はどのような購買行動をとるのか」、「買わなかった人はなぜ買わなかったのか」といった無意識による行動を調べたデータは持っていません。
あずきバーというトップブランドを次の段階へとステップアップさせるために、さらに一歩踏み込んだ調査を進めるべきだと思い実施を決めました。
―今回の取り組みについて教えてください。
羽田:調査は、千葉県内のGMS(総合スーパー)で、調査対象となるマルチアイス売り場の天井に 3 台のカメラを設置し、エリアを 4つに分けて消費者行動の解析を行いました。
守政:今回のきっかけとなったウェビナーを2021年1月末頃に受講したのち、当初は3月に調査を実施するという非常に早いスピード感で動いていました。というのも、4月からはキャンペーンが始まるため、基礎調査として気温の影響も少なく、比較的売上の変動が落ち着いた時期に調査をしたいと考えていました。しかし、基礎調査としてはあずきバーの売上が最も高い時期である夏にするべきだとして、2021年7~8月(14日間)に実施しました。
ロイヤルカスタマーの存在を改めてデータで確認
―今回の調査から、データ取得をして得られた新たな気づきや示唆はありましたか。
守政:商品接触・購入回数の調査結果によると、「BOX あずきバー」は接触・購入回数ともに他商品を大きく上回り、マルチアイス売り場において最も人気の高い商品ということを再認識できました。商品を手にとった人が購入した割合は82.5%という高さで、あまり離反している人がいなかったことも嬉しい驚きです。
また、「1番最初に該当商品に接触して、かつ購入した」計画購買者の割合も高く、商品接触までの時間が平均値・中央値ともに他商品より下回っていました。この結果から、BOX あずきバーの棚位置を把握しているリピート顧客が一定数いらっしゃる可能性が考えられることから、あずきバーはロイヤルカスタマーの皆さまに支えられているということを、改めてデータとして目に見える形で知ることができました。
商品接触・購入回数トップ20
―では、今回あずきバーの売上が過去最高記録を更新した要因をどのようにお考えでしょうか。
守政:ひとつは、ロイヤルカスタマーの方に、年間を通して高い頻度で買っていただいたということ。社内の聞き取りなどで分かってきたことですが、通常であれば「あずきバーは冬は売れないから」と一部小売業様では棚から外されてしまうところを、コロナ禍で密を避けるために季節ごとの定番商品の入れ替えを控えたことで、BOXあずきバーとしては導入率が夏並みの高さで、秋冬も残していただいた店舗が例年以上に多かったということです。
売り場に並んでさえいれば棚の位置を把握しているお客様が計画購買をしてくださるので、この2つがうまくマッチしてチャンスを増やせたことで16%増につながったと考えています。
小売業に対してチャンスロスを減らす提案も
――調査結果を受けた今後の取り組みとして、どのような施策を検討していますか。
守政:引き続き、ロイヤルカスタマーに向けたキャンペーン企画には力を入れていきます。また、来年(2023年)は50周年を迎えます。暑い夏を乗り切っていただきたいという思いから本格的な暑さを迎える7月1日を「井村屋あずきバーの日」として制定しているため、この日に向けた施策も考案中です。一方で、ロイヤルカスタマーの皆様は60~70代の方がメインなので、若い方にもファンになっていただくための種まきも進めていきます。
また、フェイス効率(1フェイス当たりの購買数:該当商品購入点数÷フェイス数)においても、 BOXあずきバーは 69.8と数値が高く、スペースあたりの売上が最も良い商品ということも分かりました。今回の調査では5フェイスと多かったものの、閉店前になると欠品ギリギリということもデータで出していただきました。
その結果から、1~2フェイスの他の小売業様では、欠品によるチャンスロスが発生している可能性も見えてきたので、フェイスを増やしたり、品出しのタイミングを増やしたりしていただく提案をしてほしいと営業に伝えました。
「アイス売り場にあずきバーがあるからとりあえずアイス売り場に行こう」というお客様が、プラスで他の商品も買っていただくというマグネット機能を発揮していることも分かりました。次回の調査でも同様の結果が出てくれば、「あずきバーはアイス売り場に置いておくだけで集客効果がある」というご提案も小売業様にできるようになってくるのではと感じています。
青木:「なぜ買わなかったのか」という点について、コニカミノルタマーケティングサービスのインタビュー調査やアイトラッキング調査も活用していければと思っています。
羽田:「Go Insight」では、あずきバーに接触したものの他商品を購入した方にお声掛けをして店頭インタビューをしたり、事前にリクルーティングをし、店舗でアイトラッキングを行ったりするなど、オプションサービスも拡充しています。今後もより深い消費者のインサイトに迫っていくサービスをご提供することで、井村屋あずきバーのトップブランド確立に少しでも貢献できればと思っています。
お問い合わせ
コニカミノルタマーケティングサービス株式会社
URL:https://promarketing.konicaminolta.com/service/goinsight/
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