OOH単体ではなく 戦略全体で効果を見る
セミナーでは、コロナ禍によって顕在化したOOHの新しい価値やそのメディア効果について、講演・ディスカッションが行われた。冒頭では近年、急速なデジタル化によって顕在化してきたOOHの効果・価値について、オリコムの山本正博氏が解説。従来からある普遍的な効果だけではなく、『偶然性(セレンディピティ)』や『SNSでの発信、拡散』といった効果も顕在化。こうした機能により、OOHがコミュニケーション戦略の起点として活用されるケースも出てきていると話す。
さらに山本氏は、コロナ禍で「リアルにその場所にあること」の価値が改めて見直され、さらに場所の文脈やストーリーに沿って広告展開をする「ロケーションバリュー」という価値も高まっていると話した。
セミナー後半には、そのロケーションバリューを活かしOOHを展開するメルカリ、サイボウズの2社が登壇。「五感で体験できる広告」としての価値があるとし、活用のポイントについて、ディスカッションした。メルカリの星 賢志氏は「OOH単体でKPI・効果を考えるのではなく、戦略全体、さらに中長期の視座も入れて投資効果を判断することが重要」と話した。
「そもそも効果を求めるか、効率を求めるかは戦略のフェーズによっても変わってくる」と話すのはサイボウズの大槻幸夫氏。「世の中に新しい価値観を浸透させていくフェーズであれば、OOHのような媒体も活用し、効果を求めていく。価値観が浸透した後であれば、効率を求めていけばよい」と話した。
今後の展望について星氏は「効果の数値化が難しいとされているが、必ずしも短期的なCPAのような効果だけがOOHとしての本質的な期待値ではない。こうした状況では、可能性があってもOOHを活用できる企業が少ないはずなので、当社は全体戦略に即して活用意義を共通言語化し、検討していきたい」と話す。大槻氏は「ある一定の場所に広告を出し続けることで『いつもそこにある』という、会社自体への信頼感を生む効果も感じている。今後は、そのような場所の使い方も模索していきたい」と展望を語った。
山本氏は「当社でも、従来のインターネット調査による効果検証に加え、デジタルと掛け合わせたメジャメントや最適配信などによる検証スキームによって、効果の可視化を進めている」と、今後のさらなる進化について話した。
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