前年比300%の販売を達成した、メディアコラボの裏側(ニチバン×中京テレビ)

ニチバンは、愛知県を主なエリアとするメディアコンテンツ施策の実施により、自社商品が抱えていた長年の課題を解決し、売上高前年比300%を達成することに成功した。その背景にあった中京テレビとのコラボ、そして「オファーサービス」利用の背景とは。

市場開拓の旗手が抱える課題

宣伝会議が運営する「日本のメディア」を介したオファーのきっかけについて、ニチバン・コンシューマー営業本部 オフィスホーム営業統括部の渡邉智和氏は「ニチバンの“新機軸”として期待する商品が抱える課題があった」と振り返る。

「当社は2018年に創業100周年を迎え、次のステージに向けた新たな取り組みを展開しています。そのひとつが、キッチン雑貨市場への進出です。その中核ブランドとして2015年から『ディアキチ™ワザアリ™テープ(以下、ワザアリテープ)』を商品展開してきたものの、認知度の伸び悩みが課題となっていました」(渡邉氏)。

ニチバンの『ディアキチ™ワザアリ™テープ』

 
ニチバンが新しい挑戦と位置付ける『ワザアリテープ』が直面した壁。予算が限られるなか、解決策を求めて「日本のメディア」のオファーサービスを利用したところ、中京テレビ(本社・名古屋市)が解決パートナーとして名乗りをあげた。渡邉氏は「市場規模や成長可能性を考慮すると、東海地方はとても魅力的。ニチバンとして、最重要エリアとしてオファー時にリクエストさせていただきました」と振り返る。ニチバンからの期待を受けてコンテンツを提案した、営業局営業推進部・山田有吉氏は次のように語る。

「私たちの提案に可能性を感じていただき、とても光栄でした。当社は東海3県を対象とする民間の地上波放送局ですが、オフライン・オンライン問わずイベント企画実施にも力を入れています。当社の強みであるテレビと様々なコンテンツをミックスすることで、ニチバンさんの課題を解決できたらという思いでご提案させていただきました」(山田氏)。

放送から店頭までをカバー

渡邉氏が「一度使ってさえもらえれば、家庭のあらゆるシーンで重宝する必需品になれる」と話すように、『ワザアリテープ』は使いやすさと汎用性を兼ね備えた“かゆいところに手が届く”商品である。中京テレビには購買行動のファーストステップである“認知度向上”につながる施策を期待していた。

その期待は、良い意味で裏切られる。中京テレビが提案したのはさらにその先、消費者を購入そのものに導く施策だった。そのポイントは3つに分けられるという。

「まずは、当社のテレビ番組を通じて『ワザアリテープ』を認知してもらい、欲しいと思ってもらう。次に、『ワザアリテープ』の販路として小売店の陳列棚を確保する。そして、サンプリングを実施して商品力の高さを実感してもらうことです」。

放送局が提供する代表的な施策といえばCMだが、山田氏は「テレビCMは認知を獲得する上では効果的だが、それだけがテレビ局の提案できるすべてではない。テレビを起点とした購買動線をつくれないか」と考えた。商品をテレビで紹介することで商品特性を広く知ってもらう入り口を用意する。テレビを見た人が小売店に行くとそこには売り場が連動しており、実際にその商品を手に取って見ることができる。エリアの流通との関係性を持っている地域密着型の放送局だからこそできる仕掛けだ。

番組キャラクターがPR大使に

「今回の商品は様々な使用シーンがあり生活を便利にするグッズ。視聴者にとって有用な情報となることから情報番組でも扱ってもらえました。ただテレビ局は、電波で広く知ってもらって終わりではなく、様々なリソースをつなぎ合わせ、そのエリアでスポンサーの課題解決にどこまで寄り添えるかを考えていける企業でありたいと思っています」(山田氏)。

テレビ放送を起点に、住宅展示場での商品サンプリングをはじめとしたオフライン施策を展開。特に、超大型ホームセンター3店舗では、特別棚を設置し8日間にわたり商品販売・告知キャンペーンを実施し、期間中は「前略、大とくさん」の番組キャラクター「大とくさん」が『ワザアリテープ』PR大使として商品PRを行った。

中京テレビの人気情報番組「前略、大とくさん」(日曜朝9:55~)のキャラクター「大とくさん」が『ワザアリテープ』PR大使として商品アピール。店頭での購買を強力に後押しした。

 
「小売りの現場で消費者とのタッチポイントを創出するうえで、知名度の高い番組やキャラクターを起用する意義は大きい」と山田氏が語るように、特別棚で足を止めた来店者が、その場で購入にいたるケースも見受けられたという。特別棚の効果を小売店側が実感したことで、『ワザアリテープ』を取り扱う店舗は11店舗から59店舗に増加した。

小売にもメリットをもたらす

施策実施の結果、『ワザアリテープ』の東海エリアにおける売上高は前年比300%を記録。全エリア平均の前年比120%と比較すると、本施策の効果の大きさがうかがえる。渡邉氏は、成功要因として企画自体の訴求力はもちろん、中京テレビの“表からは見えない努力”を評価する。

 
「中京テレビさん自ら小売店と折衝し、特別棚の設置や取り扱い店舗を開拓されたことに驚きました。本施策は実施後もお客様のあいだでも話題になっており、商談のネタにさせていただいています(笑)。小売業界全体への波及効果は想像以上で、他エリアにも応用できないか検討中です」(渡邉氏)。

成功の担い手となった山田氏も、いままでにない挑戦に手ごたえを感じている。

「当社の強みを生かしてニチバンさんの課題を解決しつつ、地域事業者にとっても来店動機というメリットのある“三方よし”の施策にできたと思います。小売店との折衝や特別棚の制作は試行錯誤の連続でしたが、新たなノウハウとして蓄積できました。放送局としてさらに成長できる機会ですので、今後も東海エリアを舞台にしたオファーがあれば、ぜひ最善策を提案させていただきたいです」(山田氏)。

≪関連記事≫
宣伝会議 広告主とメディアをつなぐ新プロジェクト「日本のメディア」スタート


この記事の感想を
教えて下さい。
この記事の感想を教えて下さい。

この記事を読んだ方におススメの記事

    タイアップ