日本最大規模の公募広告賞である「宣伝会議賞」。
第59回となった本年度は、過去最高の作品応募総数64万8138点を記録した。
宣伝会議では昨年より、応募作品の中にある“言葉”を分析し、その結果から新たな発見を導き出すための試みとして、応募作品の“テキストマイニング”を実施している。
分析には今回も、顧客の「声」や購買データ、人事情報などのビッグデータを見える化する「テキストマイニング」「データマイニング」を核としたクラウドソリューション事業を展開する、プラスアルファ・コンサルティングの「見える化エンジン」を活用した。
「ヤマハ発動機」の課題を分析
第59回「宣伝会議賞」の「ヤマハ発動機」の課題は、「生活や社会に役立っている『ヤマハ発動機の意外な事実』を興味を持って身近に感じてもらえる楽しく分かりやすいアイデア」。
本課題に集まった応募作品を「見える化エンジン」で解析した結果、全体のマッピングは以下のようになった。
「バイク」「ロボット」といった、認知度の高い製品の話題以外にも、「電動自転車」や「プール」といった、製品・事業の話題も多く見られる。
また、「日本」「世界」「空」「海」などのワードから、プラスアルファ・コンサルティングのコンサルタントは、「非常に広範囲の場において、ヤマハ発動機の製品が身近な存在であることがわかるアウトプットとなっている」と考察する。
また、「人生-アシスト」といったつながりから、“場”だけではなく、人生という“時”の視点においても、多く接点を持つ存在であることが読み取れる。
単語ランキング、「バイク」「プール」「エンジン」などの製品ランクイン
応募作品に含まれた「単語ランキング(名詞形容詞動詞含む)」では、ヤマハ発動機が手掛ける事業、「バイク」とそれに付随する「エンジン」のほか、「プール」がランクインしている。
「名詞」「形容詞」「動詞」それぞれに分類した単語ランキングは以下のようになる。
「係り受け」ランキングが映し出す、“生活に身近なヤマハ”
「見える化エンジン」では、「係り受け(=言葉と言葉の関係性)」の可視化も可能なので、「名詞」と「動詞」、「名詞」と「形容詞」など、それぞれの単語がセットで使用された数・割合を知ることができる。
「名詞-形容詞」「形容詞-動詞」に焦点をあてると、上位10位のランキングは以下のようになる。
3位の「近い-いる」からも、「ヤマハ発動機の製品は身近に存在する」という言及が多いことが読み取れる。
また、8位の「米-美味しい」のように稲作への言及も上位に挙がっており、「生活とは切っても切れないもの」「欠かせないもの」といった切り口も多数あると考えられる。
分析結果を受け、ヤマハ発動機ブランドマーケテイング部・主管の橋本耕氏は、「宣伝会議賞には、当社が展開するユニークな製品群や活動を広く知っていただくことを目的に応募しました。“上位キーワード”から、身近な電動アシスト自転車やプール、モノづくりに貢献する働くロボットなど、狙い通りのキーワードが浮かび上がり、成果を確認できたように思います」と話す。
また、橋本氏は、「キーワード同士の予想外のつながりは発見があった」とも話し、気になるワードが含まれる文章を簡単に確認できることから、企業への客観的なイメージを読み解く際に役立ったという。
「印象的だったのが、キーワードで“『人生』と『つまらない』”が相関していた点。『ヤマハがなかったらつまらない人生だった』という文脈です。当社がなくても社会は存続しますが、人生に彩りがなくなり、楽しくなくなる。その価値を、感じることができました。どの事業領域においても、『いてくれてありがとう』と言われるようなブランドでありたいと、あらためて認識しました」と語った。
「見える化エンジン」ではこのように、一般の生活者が企業に対して抱いているイメージや期待を可視化することで、企業が持つ顧客体験価値を再整理することができる。
消費者の中で、商品やサービスから得られる「体験価値」が重視されている昨今。
顧客が求める体験を提供するため、顧客の“声”を重視する企業も多い。
プラスアルファ・コンサルティングでは、“顧客の声”をデータとして見える化し、顧客の本音に迫ることが、体験価値の向上につながると考える。
実際に、カスタマーセンターや相談窓口などに集まった“顧客の声”を「見える化エンジン」により分析し、事業戦略・商品戦略に活用する企業も増えているという。