テレビ広告のデータ活用を推進していくなか、広告主・テレビ局・広告会社の連携が求められている。長年メディアプランニングとバイイングの現場に携わってきた飯塚氏に話を聞く。
博報堂DYメディアパートナーズ
AssSビジネスプロデュース局 局長
飯塚隆博氏
1995年博報堂に入社し、テレビ局スポット部に所属。13年間メディアプランニング領域に携わった後、テレビ及び動画配信のバイイングに従事する。2018年データビジネス開発局局長に就任。2021年に現職。
Q. 「広告枠」だけでない、テレビ局が持つ価値とは?
A. 流行や市場の“発火点”となるメディアであること。
テレビ局が持つ圧倒的なリーチ力とプレミアムコンテンツにより、流行や市場をつくり出す発火点メディアとして、生活者の興味・欲求を刺激し、経済活動を促進する重要な役割があります。
また、従前より活用されているブランデッドコンテンツや流通企画など多様な企画・施策は、最近進んできたデータ活用によって成果、結果の可視化が可能になり、より広告主のKPIやKGIに対して効果を発揮できる手段として活用の幅が広がると考えます。
Q. 成長を遂げる、運用型テレビCM市場。なぜ今、新規プレイヤーが続々参入しているのでしょう?
A. テレビ広告活用の幅が広がり、迅速にPDCAを回す新たな領域が生まれたため。
データの充実でテレビの広告効果が可視化できるようになり、テレビ広告の活用の幅を大きく広げて、KPIやその他ニーズに合わせた形の迅速なPDCAを回していく新たな領域が生まれたことが要因でしょう。
テレビの持つ圧倒的なリーチ力に運用力が加われば、広告メディアとして大きな優位性を持つことになりますが、完成形には売り方や仕組みなど課題があります。放送局、広告会社、広告主の協調による、価値向上のための変革推進が重要と考えます。
Q. テレビCMの活用で、広告主企業がいま一番、課題に感じていると思うことは何でしょうか。また、その解決策は?
A. フレキシビリティが課題で、アジャイルな施策改善が求められている。
広告主の皆さまがテレビ広告に感じている大きな課題は、「フレキシビリティ」ではないかと思います。テレビ広告は費用も影響も大きいので各所からの注目度も高く、結果を求められる投資だと考えています。テレビ広告の効果を上げていくには、そもそものKPIの設定から他メディアとの横断での効果把握、運用体制の構築などが必要です。最適解に向けて、アジャイルに施策を改善させられるような仕組みに進化させていく必要があると思います。