昨今人々のテレビ視聴態度は、どのように変化してきているのか。テレビの見られ方を明らかにする「視聴質」を計測するTVISION INSIGHTSの郡谷氏に話を聞く。
TVISION INSIGHTS
代表取締役社長
郡谷康士氏
マッキンゼー・アンド・カンパニーにて、事業戦略・マーケティング戦略案件を数多く担当。リクルート中国の戦略担当を経て、上海にてデジタル広告代理店游仁堂創業。2015年よりTVISION INSIGHTSを創業し、代表取締役に就任。
Q. ずばり聞きます!2022年、テレビCMはどう進化すると思いますか?
A. CTV拡大で、テレビとデジタル双方を加味した新たなチャレンジが必要に。
CTV(コネクテッドTV)分野の拡大です。視聴者のCTVへの移行は明確。米国では一番伸びていく分野と予想されています。そのとき、テレビvsデジタルではなく、テレビ&デジタルという、混じり合う市場でどう広告を打つべきか、新しいチャレンジが必要になるでしょう。モバイルのような1on1ではなく、複数人視聴が主戦場となり、デジタルが得意としてきた個人特定がうまく働かなくなることが想定されます。デジタル/既存のテレビの双方を織り込んだマーケティングの手法が必須になると考えています。
Q. 成長を遂げる運用型テレビCM市場。なぜ今、新規プレイヤーが続々参入しているのでしょうか?
A. 効果が見える事例が増えて、広告主の意識が変わったから。
そもそも「テレビが効いていない」というのは偽命題であり、多くのマーケターはテレビの効果を実感していました。デジタルのように効果が顕在化されていないことが多く、マーケティング効果を求める中で優先順位が下がっていたところ、近年テレビの世界でも、データ・ドリブンでマーケティングができる、という事例が増え、広告主の意識が変わってきたことが大きいのではないでしょうか。
Q. テレビCMの活用、広告主企業がいま一番、課題に感じていると思うことは何でしょうか。また、その解決策は?
A. 広い意味の「テレビ」での、トータルリーチの最大化。
データ・ドリブンの進化で良い番組/良い枠が見え、PDCAの土台もできてきましたが、バイイングを実行していく柔軟性は、まだまだ改善できると感じている広告主は多いと思います。
また、CTVを含めた広い意味の「テレビ」では、まだ課題を具現化しきれていない広告主も多い。そのなかでは、「テレビ」の中で地上波、BSに加え、CTVなどを用いて、どのようにトータルリーチを最大化していけるのか、ということが当面の課題感ではないでしょうか。