テレビCMの可能性を広げる、運用型の手法。これまでテレビが持っていた力を、どのように広げていけるのか。テレシー取締役の川瀬氏に話を聞いた。
テレシー
取締役
川瀬智博氏
2013年電通入社。全国の放送局を担当後、2017年からアプリ系/WEB獲得系/ブランディング系企業のメディアプランニング・バイイング領域を担当。テレシー事業の立ち上げに携わり、2020年よりVOYAGE GROUPに参画。2021年に現職。
Q. 「広告枠」だけでない、テレビ局が持つ価値とはなんでしょうか。
A. “テレビに取り上げられた”という、安心感・信頼感を世間に伝えること。
これは昔から変わらないかとは思いますが、パブリシティ含めて「テレビに取り上げられる」というのは、その商品やサービスに対しての安心感や信頼感、メジャー感といったあらゆるポジティブなイメージを世間広くに持ってもらう、といった価値を提供してくれます。新たなバイイング手法などが開発されていく反面、こういったテレビの旧来からの強みをしっかりと活用していくことも広告主にとっては大事なことだと思います。
Q. 成長を遂げる、運用型テレビCM市場。なぜ今、新規プレイヤーが続々参入しているのでしょう?
A. ポストクッキー時代、テレビCMの価値が再認識された。
改正個人情報保護法、GDPRやCCPAといったデータに関する規制の影響もあるのではないでしょうか。Webマーケティングでのターゲティング型の広告配信が難しくなっていったり、Web広告の効果に陰りが出てきた際に、テレビCMは新たな媒体として非常に有効です。効果計測をしてPDCAを回していく、という思考が標準となっていくことは、すべての広告主にとってよいことだと考えています。
Q. テレビCMの活用で、広告主企業がいま一番、課題に感じていると思うことは何でしょうか。また、その解決策は?
A. 取引きの柔軟性が不足していると考えます。
やはり柔軟性かと思います。運用型テレビCMといっても、現状、予約型の商品を効果計測しながらPDCAを回していく、というのが運用型テレビCMの実態であり、Webの運用型広告とはわけが違います。テレビCMの取引そのものも運用型になり、様々なマーケティングデータを取引指標として使うことができれば、広告主にとっての取引リスクは小さくなり、テレビCMのさらなる利用促進につながるのではないかと思います。