馬場さんが師匠に言われた「お前はアマチュア」、その本意とは?(ゲスト:馬場康夫、宮司愛海)【後編】

【前回コラム】二宮和也主演、新春SPドラマ『潜水艦カッペリーニ号の冒険』の“構想25年”は本当だった!(ゲスト:馬場康夫、宮司愛海)【前編】

今週のゲストは、先週に引き続き、ホイチョイ・プロダクションズ主催 馬場康夫さんと、フジテレビアナウンサー 宮司愛海さん。今回は、お2人の仕事観とクリエイティビティにまつわる話題で盛り上がりました。

今回の登場人物紹介

左から、中村洋基(すぐおわレギュラーゲスト)、権八成裕(すぐおわパーソナリティ)、澤本嘉光(すぐおわパーソナリティ)、宮司愛海、馬場康夫。
※本記事は2022年1月9日放送分の内容をダイジェスト収録したものです。

ヒットの秘訣は「今、コレをやれば当たる!」と分かること

中村:先週に引き続き、ホイチョイプロダクションズ主催 馬場康夫さん、フジテレビアナウンサーの宮司愛海さんをゲストにお迎えしています。よろしくお願いします~。

馬場宮司:よろしくおねがいします~!

中村:『潜水艦カッペリーニ号の冒険』!構想25年、いやぁ~……

澤本:感慨深かったですね。

馬場:見逃された方は「FOD」(有料会員配信サイト)でも見れますので、ぜひ。

中村:馬場さんの、その前の映画作品は『バブルへGO!!タイムマシンはドラム式』(2007年)ですね。

馬場:そうですね。15年経っちゃったけど、『バブルへGO!!』を撮ったのが8年ぶりだったので……。まあ、間が1本抜けたぐらいの周期ですね。

中村:すごい周期ですねえ〜!周期的にヒットをバンバン出す、というのは、馬場さんの中でどういうロジックや秘訣みたいなものがあるんですか?

馬場:ないですよ(笑)。だけど、好きなものしか撮っていないんですよ、僕。今回の『カッペリーニ号の冒険』もそうだったし、その前の『バブルへGO!!』も、その前の『メッセンジャー』(1999年)も。『私をスキーに連れてって』(1987年)の時は、29歳ぐらいの時にフジテレビに「今、スキーの映画を撮ったら当たりますよ!」みたいなプレゼンテーションを行いましたね。

この企画をやりたいと持ち込んで、脚本家を決めていただいたら、それがその方の発想で本になるということで。まぁ、だから「やりたいことをやらせてもらう」ってことなのかな?

中村:うーん。そこは「職業映画監督」的なものとしてコンスタントに撮る、という発想とは、根本から違いますよね?「やりたいものをやる」というのは、まさにスタンリー・キューブリック監督みたいな……。

馬場:よく言うよ!(笑)

権八:逆にね、澤本さんはずっと昔から馬場さんの作品を見ていらして。秘訣って何だと思います?その根本にあるのは。

澤本:馬場さんはもともと広告をやってらっしゃったというのもあるんだけど。「今、これをやったら当たる!」 というのが、なんとなく見えているような気がしますけどね。

一同:う~ん!!

「好きなこと」をやるのが大事

澤本:『私をスキーに連れてって』の時だって、もしかしたら “スキーの映画をやったら当たる”って、馬場さん以外の方も思っていたかもしれないけれど、馬場さんはそれを自ら実現しているじゃないですか。だからそれって、ある種の好きなだけではなくてね……。でも、ご自身でもスキーの映画が好きだとおっしゃってましたね。

馬場:元々、映画を撮っていた時、全部スキーのシーンがあるものばっかり撮っていたんですけどね。でも「よくスキーが流行るタイミングを読んで映画をつくったね」って言われるけど、 正直、僕はスキーが大好きなだけなんですよ。できるスポーツが、スキーしかないんで。

一同:へえ~!

馬場:「スポーツ何かやってます?」って聞かれた時に、泳げないし、走れないし、球技も全部ダメだし、じゃあスキーかな、ってぐらいだからね。やっぱり、“好きこそ物の上手なれ”じゃないけど、 あんまりスキーをやらない方がスキーの映画を撮られると、別なものになっちゃうな、とは思う。だからやっぱり、「好きなことをやる」っていうのが大事なんじゃないのかな? それで言ったら、僕は第二次世界大戦オタクだったので……。

澤本:へえ~、そっか。

馬場:僕は「戦記物」で育っている世代なので。カペッリーニ号という潜水艦があったということ自体は、取材をするまで知りませんでしたけどね。でも、帝国海軍にイ号とロ号という潜水艦があったという事は僕らの世代には常識だからみんな知っているし、艦長だったら少佐だな、というのも割とみんなが知っていることですね。だから、「戦争もの」をどこかでつくりたいと思っていたんじゃないかな~~考えたこともなかったけど。

権八:いやいや、馬場さんが厄介なのは……(笑)映画だけじゃないじゃないですか?いろんなことをやられていますよね?これは、どういう脳の仕分けというか……。

馬場:真面目に聞いてる、それ?(笑)

権八:いやいや、真面目ですけど……(笑)

馬場:澤本さんもそうだけど、ジャンルには何もこだわらないよね、映画だ、CMだ、小説だって。僕は例えば舞台をやってたことがあるし、MVも撮ったことがあるし……。だから別に、アウトプットが何だろう?って考えることはないよね。

澤本:やらせていただけたら幸いです、という感じですかね。

馬場:そうそう。それはそうだし、自分が表現できる「つくりたいもの」があって、それが「これだったらマンガだな」「これだったら映画になるな」というだけの差なんじゃないかな。

澤本:でも、僕とか権八くんって、動画をつくるのは基本的に広告で、CMじゃないですか?専門を一生懸命やっていたら、他の業種の方から「コレをつくってるんだったら、これもやってみない?」みたいなね。僕らはきっかけがCMですけど、馬場さんはそもそも「マンガきっかけ」ですよね。

馬場:マンガきっかけですね、デビューは。

澤本:でも 「漫画家」ってわけじゃないですよね?マンガも定期的にやっているけど、漫画家ではない。映画も定期的にやっているけど、専業ではない、みたいな感じがあって。権八が言いたい事ってそういうことだと思うんですよ。「自分はコレ!」みたいに特化した人に、「コレをやらしてみたらどうだろう?」っていう発想よりも、ホントにお好きなものを貴族のように(笑)ポンポンやってらっしゃる感じですよね。

馬場:はははは!

澤本:中島らもさんも、そういう印象でしたね。お芝居もすっごい面白いんだけど、文章も面白くて。

馬場:澤本さんとボクの共通の師匠の杉山恒太郎さんていうクリエイターの方に、ある時「お前、アマチュアだよね」って言われたことがあってね。それで、ちょっとムッとしたわけ。だから「僕はアマチュアですかね、プロにはなれませんかね?」って言ったら、「お前、勘違いするな。俺は褒めて言ってるんだ」と。

 要するに、お金儲けしたいから映画をつくる、漫画を描く、本を書くんじゃなくて、ホントにやりたくてやっている。金のためにやらないのがアマチュアなんだけど、そのほうが絶対にいいものをつくるに決まってんじゃないか、と。

「お前は珍しくアマチュアで、お金のためにやっていないからそれは貫いたほうがいいぞ」と言われたので、「なるほど。おれは生涯、アマチュアか!」と。だから、今おっしゃったことはそれに当たるのかもしれない。

一同:ほぉ〜……。

中村:また、含蓄のあることを言いますね〜、杉山さん。

澤本:たぶん、本人は言った記憶ないと思うけど。

馬場:ははははは!

宮司:やりたいことを、やり続けられることがすごいですよね。必ずしも、そういったチャンスが巡ってくるとは限らないじゃないですか?でも、それを毎回自分のものにして、ちゃんと道をつくっているからチャンスが巡ってくるんですかね。

馬場:いや、でも僕の場合はちょっと形態が違って。 だって、例えば宮司さんはアナウンサーになりたかったでしょう? で、なったらずっと続けているじゃないですか。

宮司:そうですね。アナウンサーを「辞める」っていう選択肢は無いですね。

馬場:たぶん20年後も、どういう形かは分からないけどやっているでしょう?だから結局、同じじゃない?

宮司:しゃべることはやっていたいですね。なるほど~。


次ページ 「宮司アナは「クリエイター顔」?!」へ続く

次のページ
1 2 3
すぐおわアドタイ出張所
すぐおわアドタイ出張所
すぐおわアドタイ出張所
この記事の感想を
教えて下さい。
この記事の感想を教えて下さい。

このコラムを読んだ方におススメのコラム

    タイアップ