アステリア、サイボウズ、ZVC Japan、レノボ・ジャパンの4社は、「これからの働き方を考える」というテーマで、全国の20~60代のフルタイムで働く就業者2000人を対象に調査を実施。期間は3月9日~11日。
4月7日発表された、調査レポートでは、テレワークの実施率はコロナ前の7.1%から、25.8%になり定着がみられた一方で、実施の有無により、企業の評価が左右したり、テレワークに関する世代間の認識のギャップから、社内コミュニケーション課題も浮き彫りとなった。
テレワーク体験の有無によって、働き方選択の二極化進む
41.7%が「テレワークを選択できる働き方をしたい」と回答。その内訳をみると、「テレワーク経験がある人」では実に7割以上が「テレワークを選択できる働き方をしたい」と回答した一方で、「これまでにテレワーク経験がない人」の回答は 32.5%となり、テレワーク経験の有無でテレワークへの意向に差があった(図表①)。
本調査では、8.9%が「テレワークできる職種だが、テレワークは導入されていない」という結果も明らかに。テレワークを利用しにくい、または利用できない理由としては、「職場以外だと部屋・机・椅子など物理的環境が整っていない」「職場がテレワーク環境に設備投資できていない」という「ハード面」と、「社内・社外関係者とコミュニケーションがとりにくい」「テレワークの業務ルールが整っていない」という「ソフト面」の2軸において、課題が存在していることが分かった(図表②)。
また、創業年数別だと、古い企業ほどテレワークにより社内関係者とコミュニケーションがとりにくくなると回答している傾向がみられ、伝統ある会社ほどテレワークによるコミュニケーション不足を懸念していることが分かった(図表③)。
テレワークできる職場に好感を持つ人は、従業員数300名未満の企業(36.6%)、300~2999名の企業(44.3%)、3000名以上の企業(53.1%)と、企業規模が大きくなるにつれて、テレワークができる職場への好意が上がっていることが分かった(図表④)。
社内コミュニケーションの課題に「オフィス」の役割
調査対象となる会社員・団体職員1435人に対し、テレワークも選択できる働き方ができる場合の「働く場所」について尋ねたところ、約6割が「今後もオフィスはあった方が良い」と回答。また年代差も見られ、20代が55.9%なのに対し、60代は69.6%と、13.7 ポイントの差があった(図表⑤)。
今後もオフィスがあった方がいいと思う理由としては「業務に使用する機器がある」「資料やデータを保管する」などが上位にあがっており、自宅や外部にはない事務効率を高めるためのシステムや機能がオフィスの存在価値を維持していることが分かった(図表⑥)。円滑な「社内コミュニケーション」に関連する要素は上位に来ていない。その一方で、テレワークによって業務成果への悪影響があると回答した529人に「テレワークで働くことによって、仕事の成果が悪くなる理由」について尋ねたところ「社内関係者とコミュニケーションがとりにくい(30.4%)」が、最多回答としてあげられている。テレワーク制度下でオフィスを「社内コミュニケーション活性化の場」として活用することにはまだ課題がありそうだ。
「移住」「ワーケーション」……若い世代で働き方の自由を望む声
また、「働く場所を選ばない職種・働き方になったら、どのようなことをしたいか」を質問したところ、「住まいを変えたい(23.6%)」「ワーケーションがしたい(21.8%)」「移住(海外移住、地方移住、Uターン)をしたい(21.7%)」「多拠点居住・二拠点生活がしたい(20.5%)」と、現在の生活から大きくライフスタイルを変化させたいと思っている人が約5人に1人以上いることが分かった。さらに、年代別でみてみると、住み替えやワーケーション、移住、多拠点居住のすべての項目においても、20代が6.9ポイントほど、平均より高く、若い人ほど、働き方の変化を望んでいることが明らかになった(図表⑦)。
完全テレワークなら住みたい都道府県では、「東京都」「神奈川県」と大都市圏が強く、ワーケーションでは「北海道」「沖縄県」と一部の観光地も上位にランクインした(図表⑧⑨)。テレワークの場合は、現在のライフスタイルを基準に、より現実的な場所を選択している一方で、ワーケーションに関しては特に観光地に求める要素を重視していることが分かった。