2025年日本国際博覧会協会は4月18日、大阪・関西万博の3年前イベントとして発表会を開催。8名のプロデューサーが手がけるパビリオン構想の詳細と協賛企業の追加について発表した。
8人の専門家がつくるパビリオンは、テーマをそれぞれ語り深める「署名作品」でもあることから、「シグネチャーパビリオン」と名付けられた。プロデューサーが「いのち輝く未来社会のデザイン」を、解釈、展開し、未来に生きる人々に繋ぎ渡すパビリオンを建設する。
登壇したのは、福岡伸一氏、河森正治氏、河瀨直美氏、小山薫堂氏、石黒浩氏、中島さち子氏、落合陽一氏、宮田裕章氏ら8名のテーマ事業プロデューサー。「いのち輝く未来社会」を体感できる「シグネチャーパビリオン」の構想とパビリオン名がテーマ事業ごとに発表された。
あわせて、テーマ事業の新たな協賛企業として江崎グリコ、くら寿司、コカ・コーラ ボトラーズジャパン、サステナブルパビリオン2025、ジャパンマテリアル、大日本印刷、竹中工務店、日本電信電話、堀場製作所の9社が発表された。これにより2月に発表済みの企業と合わせて計24社がテーマ事業に協賛することが明らかになった(このほか現時点で協賛について非公表の企業あり)。
まず初めに登壇したのは、生物学者で青山学院大学教授の福岡伸一氏。「いのちを知る」がテーマのパビリオン「いのち動的平衡 I am You」について、「AIには真似できないポストコロナの生物を表現しました。Youとはあなたであり、地球環境のことでもあるということを体験できるようなパビリオンとなっています」と発表。本パビリオンでは、動きや体温、鼓動によって姿を変える反応動物の間を通っていくことで、地球の一員であるという輝きを感じられるような体験が予定されている。
次に登壇したアニメーション監督/メカニックデザイナーの河森正治氏は、「いのちを育む」がテーマの「LIVE EARTH×SPACE LIFE」について「今、ここに共に生きる奇跡をテーマにした、決まった順路のない、訪れた人が思い思いに探索できるパビリオン」と発表した。リアルタイムで地球上と繋がれる「いのちの窓」、いのちが微生物になって土に還っていくさまが体験できる「いのちの引継ぎ式」などのシグネチャーイベントが予定されている。
映画監督の河瀨直美氏は「いのちを守る」がテーマのパビリオン「いのちのあかし」について、「本気の対話による、わたしのなかのあなた、あなたのなかのわたしに出会う場所としてのパビリオン」と発表。若き現代のアーティストとのコラボによる、シアターとの対話などのイベントが予定されている。
「いのちをつむぐ」がテーマの「EARTH MART」については、「食をテーマに、食べることからいのちを考え、未来を見つめるパビリオン。スーパーマーケットをイメージし、未来の食材売り場や新しいおいしさを考えながら買い物を楽しめる空間をイメージしています」と、放送作家/脚本家の小山薫堂氏が発表した。このパビリオンでは、その体験が保存されたデバイスを最後にかざすことで、「食のおみくじ」も提供する予定。
大阪大学教授/ATR石黒浩特別研究所客員所長の石黒浩氏がプロデューサーを務める「いのちを拡げる」がテーマの「いのちの未来」は、科学技術と融合していのちの可能性を飛躍的に拡げるパビリオン。データとしての体であるアンドロイドが問いかけてくるような場所や、バーチャル上での体験、ロボットオペラやロボット音楽ライブが展開される予定だ。
音楽家/数学研究者/STEAM教育家の中島さち子氏がプロデューサーとなる「いのちを高める」がテーマの「いのちの遊び場 クラゲ館」は、「STEAMワクワク!を探す旅へ」を軸とした、揺らぎのある遊びをメインとしたパビリオン。山を登っていくことから始まり、ワークショップや、つながる×つくるを体験するクラゲシアターが予定されている。
「いのちを磨く」がテーマの「null²」、「いのちを響き合わせる」がテーマの「Co-being」に関しては、「デジタルヒューマンとして新しく生まれ変わるような、体を運ばないと体験できないことをしたいと思っています。身体といのちの形をデータ化して、芸術の形にしていく試みも」(メディアアーティスト 落合陽一氏)、「屋根も壁もない森の中で繋がることによって、命を響き合わせて作る多様な社会で豊かさを分け合うような体験をしてもらいたいです。そこで一人ひとりのデータが重なって進化していく万博になればと思います」(慶応義塾大学教授 宮田裕章氏)とそれぞれ発表した。
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