ラクスルグループのノバセルは4月19日、競合他社のCM効果を可視化する「ノバセルトレンド」の提供を開始した。それに伴い同日、ラウンドテーブルを実施。ノバセル SaaS事業部長の網野雄太氏が、サービスの詳細を説明した。
冒頭で代表取締役社長の田部正樹氏は、「『ノバセルトレンド』は難しい設定もなく簡単に、他社も含めたテレビCMの効果が分かる画期的なサービス。放映枠ごとの効果が可視化されることで、今後、テレビ局との連携やまったく新しいビジネスなど、業界全体を巻き込んでいく動きもできると思う」と話す。
これまでテレビCMの効果指標としては、「アクチュアルGRP(延べ視聴率)」や「ターゲットリーチ」が用いられてきた。
同社は、テレビCM放映による「指名検索数」や「サイトセッションや顧客の行動につながったとするコンバージョン数」などの「アウトカム」、すなわち生活者の反応に着目。今回提供する『ノバセルトレンド』では、CM放映時点の前後3分間における100万インプレッション当たりの増加指名検索数を「指名検索スコア」とし、クリエイティブや放映枠ごとの効率を相対的に比較する。
テレビCMの放映量と分単位の視聴率は、インテージ社が保有するデータを使用する。大手検索エンジンと共同で瞬間指名検索増分を計測する仕組みを開発し、“どれだけ視聴者の検索アクションに繋がったか”を評価軸としてわかりやすくUIに表示。自社のCM効果だけではなく、競合他社のデータとリアルタイムで比較することで、効果が出る訴求軸は何かを見定め、効果が出る枠(地域・テレビ局・時間帯・番組)を見出し、効率的な放映プラン策定への活用を提案する。
またオプションとして、同社の戦略立案チームやデータ分析チームが伴走し、データを次に生かすための分析、メディアプランニングやクリエイティブ制作に関するサポートも行っていくという。
指名検索数に着目したことについてSaaS事業部長の網野雄太氏は次のように話す。
「検討の起点が指名検索の場合、そうでない場合と比較したときのコンバージョン率に大きな差が出るという研究もあります。また、脱3rd party cookie時代では、認知ファネルにおける準顕在層・潜在層にリーチするための行動ターゲティングが難しくなってくる。その時、テレビCMやその他動画広告を活用して、自然とブランド名や企業名が想起されて検討対象に入ったり、あるいは比較されずに指名買いされることが重要になると考えます」。
今後について網野氏は、「ゆくゆくは指名検索数を共通指標として、テレビCMや、コネクテッドTV広告、タクシーサイネージをはじめとする屋外動画メディア、モバイル・PC動画など、動画メディアの効果を横断的に可視化していきたい」と話す。今後、各メディア内での最適化運用に向け、広告会社や媒体社と連携していく方針だ。