ytvメディアデザイン
CMO メディアDiv.チーフ
山畑健太郎氏
読売テレビへ入社後は報道記者、TVCM渉外を経て、2018年よりデジタル系の新会社「ytvメディアデザイン」へ出向し、新規事業となる、関西の女性のためのWebメディア「anna(アンナ)」を運営。Web発のテレビ番組も立ち上げ、オンライン・オフラインという枠にとらわれない企画を考案中。
Q. OOHメディアだからこその価値をどう捉えていますか。
A. 日常に溶け込む「身近さ」が、行動変容につながっている。
ひと言で言うと「身近さ」です。
いまや生活者・消費者にとって最も接点の多いツールであるスマートフォン上のWeb広告が、最も「身近」と言えるかもしれません。一方で、生活する上で「勤務先の街」「地元の駅」等でふと見かける看板やサイネージは、スマートフォンの画面外、リアルに慣れ親しんでいる「日常」に溶け込んでいます。
この「何気ない日常」という「身近」な空間ともいえるOOHだからこそ、誰かにシェアしたいと思えるOOH広告と接点をもった時には、ついとっさにスマートフォンで撮影しSNSなどに投稿するという行動にもつながっているように思えます。
私たちも「ユーザーにいかに寄り添うことができるのか」を常に考えており、情報を届けるためのひとつの手段としてOOHは価値があると考えます。現在、Webメディア「anna(アンナ)」では美容室・ヘアサロンのデジタルサイネージ上にコンテンツを提供しています。読者・ユーザーである女性にとって身近な存在である美容室・ヘアサロンで接点を持っていただく事で、少しでも当メディアを身近に感じてもらいたいという想いからです。
私たちはテレビ局のグループ会社であることから、自社でOOHを保有しているわけではありません。今後もこうした「身近な接点の場」を創出するためにも、OOHを保有する企業との連動を図っていきたいと考えています。
Q. 広告主企業がOOHメディア活用において抱えている課題は何でしょうか。
A. 「他媒体との組み合わせをどう最適化させるのか」が課題です。
私たちは記事を各キュレーションメディアやSNSに展開したり、自社製作のテレビ番組と連携したりと“多チャンネル化”を進めています。
またメディアとしての認知向上やファン獲得のためにテレビCMをはじめ、Webや雑誌、ラジオなど様々な媒体に広告出稿しています。その際に悩ましいのが「組み合わせ」です。前述の通り「いかにユーザーに身近な存在になれるのか」と考えると、OOHは重要な「接点の場」「情報を届ける場」。一方でその他の媒体との連携、連動の方法などについての悩みは少なくありません。
「身近」な存在であるOOHを「OOHとしてのみ活用」することも重要ですが、「他媒体とのミックス」なども含めた活用方法をどう見出すのかも重要であると考えます。
抽象的ですが、この課題も1社で解決するのではなく、広告主、広告会社、媒体社がそれぞれアイデアや知見を持ち寄り「最適な施策」を導き出すことで、よりOOH自体の価値向上にもつながるのではないかと考えます。
また、SNSではOOHを撮影した投稿が話題になることがあります。この話題性やSNSでの拡散性も価値のひとつといえますが、私が幼少期から記憶する「町や暮らしの一部」となっている看板のような「息の長い」施策も、今後は取り組んでいければと思います。