大和ハウス工業は4月28日、仮想空間内に住宅展示場をオープンする。実際の住宅展示場への来場者数が減少しており、Web上の接点を拡大する。Webを情報源とする人が増加傾向にあるほか、コロナ禍が向かい風になっている。会員制Webサイトへの登録が前提で、見込み客との継続的な関係づくりにつなげる。普及すれば販管費も大きく減らせる。
「メタバース住宅展示場」と名付けた。主力商品の「ジーヴォシグマ(xevo Σ)」のほか、Web限定で発信している「ライフジェニック」の住宅展示場を3DCGモデルで作成した。
観覧者は、空間内を自由に歩き回って確認できるほか、大和ハウス担当者に質問したり、説明を受けたりすることができる。視点を子どもやペットの高さに変えたり、天井や床、壁紙の色や素材、インテリアを切り替えたりなど、仮想空間ならではのメリットもある。
注文住宅の情報収集方法では、インターネットが年々増加傾向にあるほか、2020年、21年は新型コロナウイルス感染症の拡大で住宅展示場の来場者が減っている。
国土交通省の「令和2年度 住宅市場動向調査」では、注文住宅取得世帯で、施工者の情報を得る方法として最も多いのが「住宅展示場で」で48.9%。最多となった。次いで「知人等の紹介」が25.1%、「インターネット」が23.6%だった。分譲戸建住宅取得世帯では、「住宅展示場」は14.1%、「インターネット」が41.9%と逆転する。
大和ハウス工業は2021年10月、オンライン上の接点として、会員制Webサイト「LiveStyle PARTNER(リブスタイル パートナー)」を開設。建築・デザイン事例や、住宅展示場の360度動画などを掲載している。「メタバース住宅展示場」も、「リブスタイルパートナー」会員向けのコンテンツ。
住宅展示場を用いたプロモーションは一般的に、モデルハウスの建設費のほか、出展先の展示場の賃料、担当者など人件費、さらに集客のための宣伝販促費などがかかる。宣伝は案内だけでなく、来場インセンティブなども要する。仮想空間内の「モデルハウス」で代替できれば、住宅メーカーにとってはコスト減につながる。