ビジネス特化型オンライン英会話のBizmates(ビズメイツ)が、検索連動型広告を主軸に、コンバージョンを伸ばしている。2022年1月に入り、コンバージョン率が昨年同月比、検索広告全体で172%となった。一方、獲得コスト(CPA)は28%低下した。2、3月もGoogle検索において、コンバージョン130%超の成長と好調に推移している。
デジタルマーケティング支援を行うサイバーエースと共同で改善を重ねた。動画広告やWebサイトの改良をしながら、コンバージョン拡大のけん引役となったのは、Google検索広告の「部分一致」の活用だ。
「部分一致」とは、指定したキーワードと同じ意味の検索クエリに対して広告を表示できる機能。たとえば、「車 窓 修理」と検索した人に対して広告を出すようにすると、「自動車 ガラス 交換」といった検索クエリにも広告が表示される。
「部分一致」が適切な手法となったのは、オンライン英会話の顧客獲得の主戦場が「検索」だからだ。しかし、オンライン英会話という商材の特性から、主要となるキーワードは多くない。「オンライン英会話」「ビジネス英語」などは人気の検索クエリだ。
新型コロナウイルス感染症拡大も、市場の過熱に拍車をかけた。いわゆる教室型の英会話が、感染リスクから敬遠されるようになったり、緊急事態宣言の発出に対応して自主休講したり、出店先の商業施設の休業に伴って開講できなくなったりしたためだ。その代替策として、教室型がメインの英会話スクールもオンラインへの対応を進めた。
「実際、2020年4、5月はユーザー数が大きく伸びた」と話すのは、ビズメイツ ランゲージソリューション事業部 マーケティンググループマネージャーの西川貴規氏だ。
「しかし、検索量の多いキーワードに対する企業同士の競争もより激しくなりました。そのため、一部のキーワードでは入札単価が1000円を超え、このままのやり方では限界があるなと思いはじめました」(西川氏)
そこで着目したのが「部分一致」の活用だった。「いままで『部分一致』は〈クルマ〉と〈自動車〉のような適切な言い換えだけでなく、人の目からするとあまり関係のない、検索意図としては異なる検索クエリにも広告を表示するため広告効果が芳しくなかった」と話すのは、サイバーエースの河村隆仁氏。
「しかし、グーグル側のアップデートもあって機能が向上し、十分使用できると判断できた。たとえば英会話サービスを調べる以外にも出て来やすいのが、英単語の意味を調べているのであろう検索クエリ。このような広告主が意図しない検索に広告が出ないようにしたり、検索トレンドも見ながらタイムリーに出稿していったりしている」(河村氏)
こうしたサイバーエースの動きに対し、「とても手厚く、すばやく対応してもらえている」と話す。
「いま話に挙がったアップデートについても、条件としてはどの広告会社も同じ。機能の変化にどのように対応し、いかにして成果を伸ばすか、という点に差が出るものだと思う。その点で、サイバーエースとは密にコミュニケーションを取れており、施策の提案数の多さや、実行までのスピード感にも満足している。『部分一致』の割合を増やしていくと決めた同月に実施まで至った」(西川氏)
オペレーションを担っているのは、サイバーエースの南部俊和氏だ。検索クエリの除外や入稿などを担う広告運用部隊を指揮し、ビズメイツとの打ち合わせで決まったことを迅速に実行に移している。それが結実したのが、冒頭の成果だ。
環境は必ずしも良くなかった。2020年は在宅時間が大きく伸びた年。外出できない間にスキルアップを意図した人は少なくなく、それまで教室型に通っていた人もオンラインへ移行した。一方、「20年の7月から今年の3月までの検索量を見ると、ここ2年成長していない。22年の1~3月は前年よりも減少している」と西川氏は明かす。
コロナ禍によるライフスタイルの変化にある種の慣れが出てきて、ベースとなるユーザーのスキルアップ意欲は落ち着いた傾向。そうした中、Google検索においてコンバージョン130%超の成長は、非常に大きい成果だった。
「入札単価の上昇傾向は変わらないので、同じキーワードで配信を伸ばすだけではCPAが悪化してしまう。そのため検索ワードの幅を広げたことでコンバージョンを担保できた。BtoC領域はビズメイツの売上構成比でも大きな割合を占めており、その流入元として検索広告は存在感があり、結果を出していただいているので、とても感謝しています」(西川氏)
西川氏によると、成人向け英会話の市場規模は2000億円程度(矢野経済研究所『語学ビジネス徹底調査レポート』)。オンラインに限ると、その約1割の220億円と、まだまだ大きな伸び代がある。コロナ禍前は200億円(同)にも満たず、小さい分、2ケタ成長を続けている。認知度の高い英会話スクールがオンラインに参入したり、競合サービスがテレビCMなどを活用することも珍しくない。
市場が広がればプレーヤーも広がり、競争も熾烈になっていく。
「そうした中、広告手法側のアップデートには積極的に対応していきたいと考えている。事例が十分になかったとしても新しい施策実施に挑んでいきたい。競合より先手を打ち、伸ばすことができれば、それが競争優位になる。失敗したら撤退し、先に別の手を探すこともできる」(西川氏)
「こうした戦略を支える上でも、手法の進化については、すばやく社内で共有し、どのような案件に対して、どんな成果が見込めるか、できるだけ精度高く出せるようにしている」と河村氏。西川氏も「シミュレーションをもらった上で判断できるので、継続と撤退のラインが決めやすく、社内の調整もしやすい」と言葉をつなぐ。
検索連動型広告以外に、挑戦を始めたのがYouTubeやFacebookなどでの動画広告だ。検索連動型で成果が出ているうちに、より手前の認知度の向上施策を実施。どういう動画、表現であれば英会話をはじめよう、という需要につなげられるか、ビズメイツとサイバーエースで検証を続けている。
目指すのは業界地図の塗替えだ。「オンライン英会話の中で、講師と教材の質は当社が最も高いと考えている」と話す西川氏。
「その点からすれば、少し高いが費用対効果は一番良い。ビジネス英語と聞くと難しいというイメージを持たれているが、実は日常会話より頻繁に使う単語やフレーズは決まっているので簡単。だから、英語を使ってビジネスで活躍したい人ならだれでもビジネス英語から始めるべきだと考えています。この考え方を浸透させていき、業界内でのシェアを伸ばし、『社会人でオンライン英会話ならBizmates(ビズメイツ)だよね』と言っていただけるようにしたい」(西川氏)
「こうした熱量を共有できている」と河村氏も話す。「業界地図を変えたい、というのはまさに共感するところ。そこのモチベーションに対して、スピードと成果でお返ししたい。熱量と施策がかみ合っているので、担当としても非常にやりがいを感じる」(河村氏)
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