広告主CDが知っておきたい、クリエイティブ・ディレクションの極意

クリエイティブ・ディレクションは広告などのクリエイティブの制作のみに留まらず、商品開発や新規事業立ち上げなど、幅広い領域で求められます。月刊『宣伝会議』5月号
「宣伝担当者が知っておきたいクリエイティブの基本」では、多様な立場、役割の人が集うクリエイティブチームをまとめ、最適なアウトプットへと導くクリエイティブ・ディレクションに必要なスキルと考えについて、事業会社、広告会社の、双方の視点から紐解きます。

POINT

「クリエイティブ・ディレクション」の3つの極意
1.オリエンで大切なのはフォーマットではない。洗いざらい生の言葉で語ること。
2.広告主の熱い心は見せた方が良く、スタッフの心にも火をつける。
3.撮影現場では、広告主も撮影される内容に執着を!

OfficeNacky
CreativeDirector/Packagedesigner/Creative調査analysis
名久井貴詞氏

味の素で38年間、日本と海外でPackageDesignと広告の企画制作の両方を担当。2017年にGlobal Brand Logotypeを米国Designerと開発。2021年退任しフリーに。JAACreative委員会委員長を務める。

広告主のCreativeDirectionその大前提となるものとは?

「ADプランナー・ディレクターの力の発揮に広告主は汗をかきましょう!」というタイトルから、よい広告をつくるには、ADプランナーを自由にすればいいのか?と思われた方もいると思います。しかし、それは大きな誤解です。むしろ、広告主は徹底的にCreativeDirectionをしてくださいという意味です。

広告に対する捉え方が、「広く告げること」を目指す広告会社と、「販売・イメージ向上のための武器・手段」と考える広告主とでは、根本的に広告に対する考え方、期待値が異なっています。

広告主が目標達成をできるか否かについて、広告会社が保証してくれるわけではありません。なぜなら広告会社の仕事のすべてが、広告主の判断の基にあるからです。

つまり、広告主は広告のことを広告会社にすべて任せるのではなく、広告に対する向き合い方が違うからこそ、深く話し合うべきですし、その中で共有点を見出しながら広告会社の機能を生かし、一緒につくり上げることが大前提にならなければなりません。
では、企画・制作プロセスに則りながらお話しします。


Planner・Designerは皆さんと同じ人間です

広告宣伝担当者・マーケターは、広告会社のプランナーなどクリエイターを特別視する傾向があるように思います。それは、多くの担当者・マーケターは学歴も含めて“クリエイティブ”という領域に縁の遠い生活を送ってきたことから、どうしても苦手意識が働きやすいのだと思います。

しかし、まったく気にする必要はありません。クリエイターも赤ちゃんを見れば、思わず笑顔になりますし、怖い目に遭えば「ビックリした」と言い、皆さんと感覚的にまったく変わることがありません。ただし課題に対してどのように伝えたら良いのか考え、表現に変えるプロだということだけです。もし、打ち合わせの場で違和感を持ったら気軽に質問してください。議論の始まりになります。

オリエンテーションは重要でも正しい形があるわけではない多くの宣伝担当者は“オリエンテーション”が重要と言います。そのやり方などはHow to本で目にすることができますが、どの方法が一番優れているのでしょうか?

ある優れた広告をしている企業の担当者から聞いたのですが、時によっては“オリエンシートがない場合がある”と言っていました。私もこの意見に同感で、オリエンという場や、オリエンのフォーマットが大事なわけではないのです。

大切なのは何の課題に悩んでいて、どうしたいのか?を明快に語れることです。また、その課題を自分はどのように捉え、課題を取り巻く環境はどうで、どのようになりたいのか、洗いざらい生の言葉で語るのが一番良いと考えています。決して綺麗な言葉で語る必要はありません。広告会社のプランナーは、意外と冷静に聞いています。なぜなら、広告主のイメージは誰もが商品や広告から感じるモノと同じで、何に悩んでいるかなんて何も知らないのです。ですから、広告主のコトを知れば知るほど、知らなかった驚きもあれば感動もあり、さらに広告主のダメさ加減も見えてきます。

つまりクリエイター魂(私も含め、人に喜んでもらうコトにすぐ身を投じる姿勢です)がくすぐられるのです。

商品・サービスの自慢話ではなく恥ずかしいぐらいに赤裸々に語ることは、プランナーの心を動かします。

プランナーが自ら何とかしたくなるのです。これ、できていますか?

図表 広告主のCreative Directionとは

企画プレゼン、判断するポイントとは?

広告担当者が、何回かドキドキする仕事のひとつに企画プレゼンの場があります。多くの企業の決定者は、どのように判断しているのでしょうか?

よくプレゼン時に見かけることとして、事業部長がプランナーの説明も聞かずどんどんページをめくりコンテを眺めるというシーンを、私自身も何度も経験しました。あ~っ、コンテを見て安心したかったんだな~と推察していたのですが、説明を聞かずにコンテを見る。それはそれで一理あります。しかしコンテの絵に惑わされる場合があります。絵コンテは読み取りに技術が必要だからです。

――本記事の続きは月刊『宣伝会議』5月号でご確認ください。
特集の後半では、ADKクリエイティブ・ワンの辻 毅氏に、広告会社の立場から見た、クリエイティブ・ディレクションについて聞いています。

月刊『宣伝会議』5月号

月刊『宣伝会議』5月号(4月1日発売)
 
▼特集1
メタバース
─新しい“世界”は、マーケティングをどう変える?
 
⚫︎特別企画
第59回「宣伝会議賞」 最終審査結果発表
 
⚫︎特集2
体験する「広告」
コロナ禍で変わった! OOHの新しい活用
 
⚫︎REPORT
コネクテッドTVの浸透で変わる!
「テレビ」というデバイスでの視聴行動
 
⚫︎シリーズ特集
宣伝担当者が知っておきたいクリエイティブの基本
最高のアウトプットを導き出す!
クリエイティブ・ディレクションの極意
名久井貴詞、辻 毅

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