xRやメタバースなどへの注目が高まる中、失敗・成功事例を蓄積しながら顧客のニーズに応えている。
あらゆる技術検証を蓄積する“実験場”
xRコンテンツやリアルタイムグラフィックスの制作・開発、アプリケーション開発などを手がけるsync.dev。R&D(Re-search&Development)を軸として、撮影やテクニカルディレクション、CG、ポストプロダクション、Web、アプリケーション開発などを組み合わせ、今までにない新しい表現を生み出してきた。2010年代と早くからバーチャルプロダクションの案件やリアルタイムグラフィックスに取り組んできたことから、コロナ禍では引き合いがさらに増加。広告やテレビ番組、音楽ライブ、イベント展示、アプリケーション開発など幅広く提案し続けている。
代表を務める岡田太一さんはCGデザイナーからキャリアをスタートさせ、ポストプロダクションで広告制作に従事。ディレクターやオフラインエディターなどを経験したのち独立し、2012年にテレビCMの編集をメイン業務とする「STUD」を設立した。2017年ごろから既存の案件にはない新たな表現を追求するため、R&Dに着手。2019年には一連のR&D活動のブランディングの一環として「sync.dev」を立ち上げた。
sync.devには現在、岡田さんを含め7名のメンバーが在籍する。CG 全般に精通したキャリアと経験値を活かしてディレクションを行うCGIディレクターの渡邉祐貴さん、機材選びや撮影方法などテクニカル視点から実現可能性を提案するプロデューサーの石ヶ谷宜昭さんら、異なるバックグラウンドと強みを持つメンバーが揃っている。「機材を駆使したテクノロジーに強い制作会社は他にもありますが、広告制作の知見から得られるビジュアル的な視点と、テクノロジーを融合させることができるバランスの良さが強み。たとえば僕は映像体験全体の設計が得意で、渡邉はカット単位でリアリティを突き詰めていくタイプ。それぞれの知見や得意分野を活かし提案をしています」(岡田さん)。
港区海岸に構えるスタジオには、モーションキャプチャやカメラトラッキング、VRのヘッドマウントディスプレイ、グリーンバック、LEDといった技術検証をするための機材や環境を揃えており、合成や編集といった映像制作も可能な実験場となっている。まだ日本では出回っていない新しい機材なども、メーカーや輸入商社とともに検証している。
これまでの実績は幅広く、テレビCMなどの広告案件はもちろんのこと、テレビ番組、大型展示会のインスタレーション、音楽ライブや企業の新製品発表会の配信などさまざま。特に今、力を入れているのがデータとビジュアライゼーションがより高度に結び付いたコンテンツの制作だ。直近でもとある展覧会で、歴史を振り返るコンテンツをリアルタイムグラフィックスで表現した展示を公開した。
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テクニカルの知見が企画の幅を広げる
そんなsync.devに持ち込まれるのは、「クリエイターが企画を考えたが、実現の方法がわからない」というプロダクションのプロデューサーの悩みが多い。「企画段階で技術面の検証が十分でなかったために、いざ制作に入ってみると実現不可能だったというケースも多い。xRは特に検証のタイミングによって予算のかかり方も変わる。広告案件も同様です。あまり早すぎる段階だと大変ですが(笑)、企画の時点でお声がけいただけたら嬉しいです」(石ヶ谷さん)。
sync.dev では新しい表現には「R&D」が大切であり、テクニカルディレクターが必要であると考える。「企画からテクニカルの視点が入る意義は大きい。『時間とお金をかければ何でも実現できる』という考えは非効率的。R&Dで多くの失敗を経験することで知見が蓄積し、適切な提案ができる点が強みです」(渡邉さん)。
テクニカルディレクターは分野横断的な知見が求められる今だからこそ、重用される役割だ。演出や技術、撮影、照明、音響、トラッカー、センサーなど、表現の領域が広がる中、「全てを網羅して手がけられる人はまずいない」と岡田さん。そこでテクニカルディレクターが間に入ることで、各業務が円滑に回るようになるという。
sync.devではテクニカルディレクターの採用も常時実施している。「広告業界でもxRやメタバースなど新しい企画に取り組む機会が増え、テクニカルディレクターの重要性は高まっています。たとえば同じバーチャル表現でも、デジタル上と撮影が絡んだ実空間では全く違う知見が必要。その間をつなぐのがテクニカルディレクターです。実現可能性を踏まえて技術の話ができるし、あらゆる選択肢を知っているから企画の幅が広がる。業界内でもっと地位を確立していきたいですし、なるべく早い段階で専門家としてチームにアサインするのをおすすめしています」(岡田さん)。
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sync.dev
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